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回想 - 仰木彬が「ニュースステーション」に出演していた頃
e0079739_11492319.jpg88年10月19日の川崎球場でのロッテ戦はダブルヘッダーで、連勝しなければ優勝できない第二試合、延長イニングの表の攻撃だった近鉄が遂に点を取れず、そこで西武の優勝が決まった。仰木彬が万感の思いを噛み締めつつ、けれども淡々とした表情でベンチを出て、審判に裏の守備の変更を告げに行った場面が印象的だった。優勝は逸したが試合はまだ続いているからという表情だった。その最終戦の模様はテレビ朝日が中継していて、視聴者である私は、「ニュースステーション」の久米宏と小宮悦子と一緒に固唾をのんで試合を見守っていた。その年、久米宏と小宮悦子は熱烈に仰木近鉄を応援していた。88年に登場した仰木彬の西武への挑戦は人の心を熱くするものがあって、特にこの試合の感動が仰木彬の人気を沸騰させた。80年代は王者西武の時代であり、森祗晶が率いる常勝西武は隙なしの強さで、パリーグの優勝は殆どデフォルトで、日本選手権の興味はセリーグの球団が西武に勝てるかどうかだった。



e0079739_11493343.jpgその試合の後だったか、仰木彬がゲストで「ニュースステーション」に呼ばれたことがあったが、そのとき仰木彬が小宮悦子からいきなり電話番号を聞き出したハプニンングがあり、仰木彬の意外な一面を覗かせた事件として記憶にある。それは番組の途中のCMの時間に起きた珍事だったが、いま思い出してもおかしくて笑える。CMが終わった直後の生放送で、久米宏が呵呵大笑しながら一件を視聴者にバラし、横で仰木彬と小宮悦子が照れくさそうに笑っていた。あのころの「ニュースステーション」は楽しかった。番組が始まって三年後の絶頂期であり、小宮悦子は常に醜聞の渦中にあり、渦中にありながら美しい魅力を膨らませ続けて、視聴者の男たちを惹きつけていた。小宮悦子は残業を終えて疲労して帰宅した企業戦士を慰めるホステスだった。仰木彬53歳、小宮悦子30歳。生放送のスタジオで、CM放送中の一瞬を衝いたとはいえ、小宮悦子に電話番号を聞き出した仰木彬は豪傑であり、教えた小宮悦子も傑女と言える。

e0079739_11494576.jpg次に仰木彬がわれわれの注目を浴びたのはイチローの成功のプロデューサーとしてであった。この功績とドラマは実に大きい。そう言えば、イチローも久米宏のお気に入りで、「ニュースステーション」に度々出演して、番組に出始めの頃の大石恵とツーショットで収まっていた。ファッションセンス抜群なイチローと美女の大石恵のカップルは絵になった。大石恵のその後は知らないが、イチローはずいぶん人間が変わり印象が変わった。当時はセンスと性格のいい魅力的な若者だった。イチローは仰木彬が監督になるのがあと一年遅ければオリックスを解雇されていた。イチローを退団寸前に追い込んだのは土井正三で、宮内義彦が上田利治の代りに監督に据えた男である。栄光の巨人軍V9戦士の一人だったが、イチローを引退間際に追い詰めた前科が祟って、野球界において市民権を失った。恐らく死ぬまで名誉回復できず、表社会には出られないだろう。イチローの天才を見抜けず、振り子打法が気に入らないから改造しろと迫っていた。

e0079739_11532283.jpg土井正三の無能はオリックスを万年最下位球団に落とし、阪急ブレーブスの栄光を地に墜としていた。そのオリックスを再建したのが仰木彬とイチローの二人三脚だったが、その実力を回復したオリックスを再び最下位球団に転落させたのが、これまた宮内義彦が連れてきた石毛宏典だった。土井正三のパターンとよく似ている。常勝球団の経験しかなく、配下の選手を最初から見下し、我流のセオリーを振り翳して、強引に既存の組織を自分の好みの色に染める愚劣なリーダーのタイプ。宮内義彦は同じ失敗を何度も繰り返す。自分好みの人間を監督に据えて、自分好みの球団で成功させたいという欲望を抑えられない。恐らく今度の中村勝広も同じ失敗を三度繰り返す羽目になるだろう。JPと清原和博を交換するなんて信じられない。狂気の沙汰だ。一リーグ制実現のためにわざと弱体化を図ってるとしか思えない。オリックスのファンはどう思っているのか。昨秋、オリックスの監督を引き受けさせられた仰木彬も気の毒な立場だった。

e0079739_11501219.jpg仰木彬は組織の統率者として相応しい人格と才覚の男だった。この男は本当に不思議で、カリスマ性はないが、指導者としての能力と風格がある。この男は弱いチームを確実に再建して強いチームに変えた。野村克也のように野球のセオリーに拘ったわけではなく、監督業にギラギラしたプロフェッショナリズムを持っていたわけでもなく、王貞治のように勝利のみに異常な執念を燃やし続けたわけでもない。ただ仰木彬が監督になると、チームは穏やかな纏まりと結束ができ、選手は自由に溌剌と個性と才能を発揮して、そのまま実戦で組織に貢献することができた。この男は球場の外では常に笑みを絶やさない紳士で、現場で選手と試合を見つめる目は真剣で公正だった。信頼感があった。采配に特別な個性はなかったが、手抜きや迷いはなく、必要な果断さを持っていた。コーチや選手をしている人間は、仰木彬に監督を任せていれば安心だという気持ちを持っていたと思うし、それは近鉄やオリックスのファンも同じだっただろう。名監督と言ってよい。

合掌。
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by thessalonike2 | 2005-12-16 23:31 | プロ野球・WBC関連 (7)
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