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小沢一郎の政治 - 政治はゲームなのか、国民は道具なのか
e0079739_1214234.jpgいつもは二言目には「マスコミに踊らされてはいけない」と言うのが口癖の良識派市民の面々が、今回は小沢一郎の民主党に熱く期待を寄せる世論の一部に積極的に参加している。この態度や言動は「マスコミに踊らされている」ことにはならないのだろうか。小沢一郎が新しく言い出した「政策理念」を評価するときは、耳に響きのいいコトバに心情共鳴して直截的に納得するのではなく、せめてその前に、この記事ほどの検証作業を経て態度決定を考えるのが成熟した市民の政治的感覚というものだろう。マスコミに踊らされて小沢一郎に期待を寄せた者たちは、いずれ遠くない時期に期待を裏切られて挫折感に苛まれることになる。結論的に言えば、小沢一郎が言葉で用意する「政策理念」というものは、基本的にテンポラリーな「方便」であり、政権獲得という目的のための手段である。政権獲得が常に目的であって、政策理念は有権者の支持を調達するための手段の言葉(文字列)であり、すなわち「対立軸」を強調し演出し説得するためのスローガンなのだ。



e0079739_12144044.jpg小泉首相の靖国参拝を批判する議論は結構だし、「終身雇用と年功序列が最大のセーフティネットである」として「共生」を主張する社会政策論はさらに素晴らしいが、小沢一郎が「共生社会」の思想をどこまで具体的に立法化して、国会で法案提出したり、政府法案に対案を出して行くかは未知数である。例えば製造業における非正規雇用の禁止などといったラディカルな社会政策の方針化まで結びつくのかどうか。現状で言えば、格差社会と財政再建が大きな社会的議論の争点になっていて、民主党の対立軸も自ずとこの問題に関わって政策提示されるのが当然なのだが、小沢一郎を「格差社会是正」の政治シンボルとして信仰してよいかどうかは検討の余地がある。また、そうした公共福祉主義が小沢一郎本来の政治思想ではなくても、対立軸として掲げられて、基本政策として民主党の政権公約になったなら、民主党の政権を取った際の立法行政として必ず実現するだろうと考えてよいかどうか。肝心な事は、対立軸も基本政策も言葉は変わることだ。

e0079739_12254676.jpg言葉は変わる。変わる中で対立軸が演出される。対立軸も変わる。小沢一郎が本当に欲しいのは政権であって、国民の生活の安定や福祉の実現では必ずしもない。代表選挙に勝利した4/7夜の報道ステーションに小沢一郎が出演して、そのとき、古館伊知郎が「次のニュースを見て感想をお願いします」と振った場面があった。ニュースは、母子家庭で母親が新聞配達をしていた留守中に火事になって二人の幼児が焼死したという傷ましい事件だった。覚えている人も多いだろう。現在の日本の経済社会の現実を象徴する悲しくて心が痛む出来事だったが、その感想を求められた小沢一郎は、特に表情を変えるでもなく、またコメントになるような政治家の言葉を発するでもなく、困った質問に直面したなという億劫な面持ちで首を傾げていた。そういう現実に対する日常的な関心や感覚がないのである。小沢一郎にとっては偶然に見させられた他人の不幸に過ぎないのだ。その悲しい出来事が日本の政治が作り出している矛盾であり、弱者に押しつけている不幸であるという認識が全くなく、言葉として出て来なかった。

e0079739_12151060.jpg二人の幼児を死に至らしめたのは、死ななくてもいい二人の子供の命を奪ったのは、母親を絶望のどん底に突き落としたのは、竹中平蔵の新自由主義であると弾劾すべきだった。新自由主義の犠牲者だ。そういう言葉が一言でも出れば、その政治家をわれわれは信用できる。その政治家が打ち出してきた「格差社会是正」の対立軸を評価し信頼できる。菅直人ならどう言っただろうか。私ならどう言っただろうか。母親は、昼間は二人の子供を保育所に送って面倒を見なければならず、収入の糧を深夜早朝の新聞配達に求めざるを得なかった。母親が満足に睡眠を取る時間はあったのだろうか。そして日本では、こうして寝る時間を削って、命を削って低収入で働き子育てしている女が無数にいる一方で、仕事を得られず、社会参加と自己実現の機会を得られないまま鬱々悶々と日々を送っている無数の働き盛りの男たちがいる。この矛盾を埋め、社会の生産と所得を拡大させ、人々に平和で幸福な生活を齎すのが政治ではないか。政治の目的は権力を取ることではなく、権力を取って何をするかが目的なのだ。

e0079739_12151988.jpg社会福祉の実現のために政権が必要なのである。小沢一郎の場合は政権獲得が目的であり、対立軸の政策も、有権者の支持も、単に目的を実現する道具でしかない。小沢一郎の政治においては主権者である国民が有権者として道具になるのである。小沢一郎という政治家が政治のゲームに勝つための道具になるのだ。そして小沢一郎は、お互いにWinWinで利用しましょうと国民に契約を迫っているのである。ゲームに勝たせてくれたら、靖国参拝はやめて中国と関係改善し、「共生」的な社会政策を少しは実現してあげましょうかと言っているのだ。WinWinでいいのだろうか。政治をそういうゲームとして考えていいのだろうか。小沢一郎はなぜ最初からゲームのプレーヤーであり、国民であるわれわれは小沢一郎をデフォルトでプレーヤーとして認めなければならないのか。国民主権と民主主義の原理においては議員は国民の代表ではないのか。小沢一郎はわれわれと政治契約する主体ではなく、われわれと小沢一郎とは契約の甲乙ではなく、小沢一郎がわれわれの政治意思に従って政治するのが当然なのではないのか。

小沢一郎の政治の前近代性は、国民主権のフィクションの内在化の問題(限界)だと私は考えている。道具になって契約してはいけない。その関係を認めてはいけない。政治はゲームではなく、小沢一郎に権力を取らせるゲームではなく、われわれは傍観者ではなく、政治をする主体者なのだから。

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by thessalonike2 | 2006-04-12 23:30 | 民主党・ ポスト小泉 (15)
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