
長谷川等伯の晩年の作品である松林図屏風。ここ数年、特に人気が高く、等伯関係の研究や
出版も旺盛な印象がある。五年前にNHKが行った国宝の人気投票で第一位に選ばれていた。開催された企画展の解説にも「わが国水墨画の最高傑作」と評されている。その評価で間違いはないと思うが、我々が子供の頃は必ずしもそうではなかった。我々が幼い頃の日本の水墨画の最高峰は雪舟で、特に、俗に山水図と呼ばれる秋冬山水図の冬景図が有名であり、教科書にも必ず紹介されていたものだった。小学生の頃、一時、子供の間で切手コレクションが異常に流行した時期があり、マニア垂涎の一点が
これで、普賢菩薩や見返り美人などと並んで、収集家たちの欲望を掻き立てていた。今から思うと、我々の世代は、文部省による学校教育課程よりも、郵政省によるマーケティングによって日本美術史の基礎知識を得ていたことになる。一峰が尖塔のように天空を突き刺す特徴的な構図は、子供ごころにも美しく華麗で、その図柄は誰の心をも捉えていた。
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