人気ブログランキング | 話題のタグを見る

本と映画と政治の批評
by thessalonike2


access countベキコ
since 2004.9.1


















改革ファシズムを止めに行こう - 銀のブログの背に乗って
改革ファシズムを止めに行こう - 銀のブログの背に乗って_e0079739_14205521.jpg今度の総選挙で与党小泉政権は衆院で三分の二超の議席を占め、さらに野党民主党の翼賛転向を得て、フリーハンドで新自由主義革命を推進する合法的政治権力を得た。小泉首相と竹中平蔵はこの「構造改革の神聖権力」で、新自由主義が目的とする日本国内の二極化をさらに徹底させるべく、戦後日本がこれまで達成構築してきた福祉制度の破壊に狂奔している。OECDの昨年末の報告によれば、日本は一世帯あたりの平均所得(476万円)の半分以下しか所得のない貧困世帯の率、いわゆる貧困率が全体の15%を超えていて、この十年でニ倍近くに膨らんだ。この数字はOECD加盟27カ国中5位の数字であり、先進国の中では日本は米国に次いで二番目に貧困率の高い国となった。英国の11%よりはるかに高い。ドイツは8%だ。信じられない現実である。この恐るべき格差社会はバブル崩壊後の企業のリストラと企業のリストラを扇動した政権の新自由主義政策によって齎されたが、竹中平蔵は15%の貧困率ではまだ不満の様子で、米国に並ぶべく貧困化政策の鞭の手を緩めない。



改革ファシズムを止めに行こう - 銀のブログの背に乗って_e0079739_14211033.jpg十年前は半ば冗談の言説であり、五年前は不気味な風聞であった「勝ち組」と「負け組」の二極分解は、今や日本においてリアルな社会的現実となり、「負け組」に押し込められた者は、同じ日本人でありながら生きる希望を失わされている。年間3万人を超える自殺者は率比較して実質で世界一と言われている。年間2万人台で推移していた日本の自殺者数が急増したのは、金融危機後のリストラで失業率がハネ上がった97年からであり、経済苦を理由とする中高年男性の塊が一気に数を押し上げた。一握りの富裕者が儲けるだけ儲け、贅沢三昧をして、同じ日本人の多くを貧困と絶望の地獄に突き落として喜んでいる。それを新自由主義の政権が支援している。新自由主義の政策が遂行されて幸福になるのは一握りの富裕層と米国資本だけだ。日本の福祉制度を破壊して幸福になる日本人は本来一人もいない。経済政策は国民を豊かにするために政権が行うものであるはずなのに、この国の政権は国民を不幸にし、米国に貢ぐために政治を行っている。日本人に屈辱と苦痛を与えている。

改革ファシズムを止めに行こう - 銀のブログの背に乗って_e0079739_14212164.jpg選挙のときに見たこの国の恐ろしい政治的現実に対して、我々はそれを「改革ファシズム」と呼んだ。まさか生きている間にこの日本でファシズムの政治に遭遇するとは想像もしなかったが、眼前の現実は明らかに30年代のドイツの政治的経験と酷似した様相を示している。民主主義体制下のワイマール共和国で民主主義を否定するヒトラーの独裁政治を支持したのは没落中産層だったと言われているが、あらゆる社会悪の原因と責任をユダヤ人に押し被せ、鬱屈する大衆の不満の捌け口としてユダヤ人への憎悪を煽ったヒトラーの政治手法は、公務員を諸悪の根源と糾弾し、定職と定収を保証された公務員への怨恨を煽り立てて没落中産層の欲求不満を票にした小泉首相の選挙手法と全く同一のものではないか。周到に演出効果を計算したアジテーション、すなわち最も無知な層によく届く「わかりやすい」単純なスローガンの連発は、ヒトラーが開発して実践し成功させた政治技術であり、昨年の米大統領選でブッシュ大統領によって応用された選挙戦術でもあった。「反テロ」を「改革」に置き換えただけだ。

改革ファシズムを止めに行こう - 銀のブログの背に乗って_e0079739_14214682.jpgだが単にアジテーションや選挙戦術だけの話なら、我々はそれをまだ見過ごすことができた。どうしても見過ごせず、声を上げなければと切羽詰まらされたのは、日本のマスコミが政権と一つの「束」になったからである。郵政民営化の是非を問う選挙と言いながら、テレビは郵政民営化反対論は排除して放送しようとしなかった。初めから「改革賛成」ありきであり、郵政民営化は支持が前提であり、報道番組のキャスターたちは反対論をカメラとマイクから遮断し、視聴者の目の前で郵政民営化批判の議論を躊躇することなく乱暴に封殺した。テレビ朝日の古館伊知郎、TBSのみのもんた。目撃者は何千万人といるはずだ。日本のテレビは朝鮮中央テレビのようになり、選挙を前にして郵政民営化賛成が「多数世論」として当然視され、反対論は「抵抗勢力」の愚論として異端化された。選挙で勝つ方がマスコミによって最初から決められた。こんな異常事態はこれまでなかった。放送法の中立原則があからさまに無視侵害され、それに異を唱える者が(勇気を出して声を上げた森田実を除いて)誰も出て来なかった。

改革ファシズムを止めに行こう - 銀のブログの背に乗って_e0079739_14215525.jpg日本の民主主義を守るためにはネットの中に世論を興す以外にない。ネットに世論の力を作り、マスコミの情報操作を暴露し相対化する以外にない。マスコミの全体主義的な政治誘導と世論捏造にストップをかける言論の力を作る以外にない。そう決意してこのブロガー運動を発起した。日本の民主主義を殺し、日本人を不幸にする「改革ファシズム」を止めなきゃいけない。いまマスコミと国会で「改革」と呼ばれて翼賛されている政策の中身は、従来の日本語の言葉である「改革」とは全く異なる意味のものである。それは社会をよくするものではなく悪くするものである。福祉制度の破壊であり、国民大衆からの収奪であり、米国への植民地従属である。近代市民社会を古代奴隷社会に逆戻りさせる政策と運動の標語が「改革」である。我々はそれをまず「改革ファシズム」と呼び、その言葉を広く人口に膾炙せしめ、象徴言語たる「改革」のイデオロギー性を暴露してゆく。「改革」と「ファシズム」の二つが熟せしめられたこの表象が人々を説得するとき、「改革」は言語の魔力を失って政治的に没落するのだ。

かの詩人曰く、
われ汝のわれを夢想者と嘲(あざけ)るを知る。されどわれは一人に非ず。われ汝の何れの日かわれらの同盟者となる日を希(こいねが)い、日本が一つとなる日を希う。 改革ファシズムを止めに行こう。銀のブログの背に乗って。

改革ファシズムを止めに行こう - 銀のブログの背に乗って_e0079739_1431462.jpg

by thessalonike2 | 2005-10-11 23:30 | 反小泉ブロガー同盟 (5)
<< 「改革」をどうするのか - 政... Index に戻る 何も見えてこなかった金子勝の講... >>


世に倦む日日
Google検索ランキング


下記のキーワード検索で
ブログの記事が上位に 出ます

本村洋
安田好弘
江田五月
馬渕澄夫
平沢勝栄
宮内義彦
田勢康弘
佐古忠彦
田岡俊次
末延吉正
古館伊知郎
横田滋
横田早紀江
蓮池薫
安明進
盧武鉉
金子勝
関岡英之
山口二郎
村田昭治
梅原猛
秦郁彦
水野祐
渓内譲
南原繁
ジョン・ダワー
ハーバート・ノーマン
ボナパルティズム
マルチチュード
レイシズム
レジームチェンジ
政治改革
新自由主義
B層
安晋会
護憲派
二大政党制
全野党共闘
民主党の憲法提言
小泉靖国参拝
敵基地攻撃論
六カ国協議
日米構造協議
国際司法裁判所
ユネスコ憲章
平和に対する罪
昭和天皇の戦争責任
広田弘毅
日中共同声明
中曽根書簡
鄧小平
村山談話
国民の歴史
網野史学
女系天皇
母系制
呪術の園
執拗低音
政事の構造
政治思想史
日本政治思想史研究
ダニエル・デフォー
ケネー経済表
ヴェラ・ザスーリッチ
薩長同盟
故宮
李朝文化
阿修羅像
松林図屏風
菜の花忌
イエリネク
アフターダーク
グッバイ、レーニン
ブラザーフッド
トルシエ
仰木彬
滝鼻卓雄
山口母子殺害事件
偽メール事件
民主主義の永久革命
ネット市民社会

"