「改革ファシズムを止めるブロガー同盟」の
運動が少しづつだがネットの中で波紋を呼び、注目を集めてアクセス数が増えている。小さいながらもネットの世界を徘徊する一匹の妖怪になりつつある。この運動に危機感を覚えたのかどうか不明だが、一日中ネットを監視している職業ネット右翼が、例の下劣な2ch言語を駆使して間断なくブロガーに揶揄と罵倒を浴びせ続けている。職業ネット右翼が仲間たちに訴えているプロパガンダの一つに、一年後に退陣する小泉首相に向かって反対運動をしても意味がないだろうという主張がある。まさかプロのネット右翼が本気で小泉首相の権力が一年後に終わると考えているとは思わないが、もし本気でそう信じているのなら、先に
これを読んで何かを思うべきだろう。立花隆も何度も言っているとおり、296議席の絶対権力を一人で作り出した男が簡単に権力を手離すはずがない。絶対権力が法的に保障されている四年間は、そしてその後も、終身皇帝の座に永久君臨する。
立花隆は、周囲から小泉続投論を奏でさせて、要請を無視できないという状況を作って任期延長へと踏み込むという見方だが、私は違う。小泉首相は傀儡を立てて裏でそれを操縦する。今回の選挙で党内最大勢力となった新人議員集団を事実上の小泉派に変え、その数の力を背景に往年の田中角栄のような闇将軍の地位に就いて絶対権力を行使する。執行部の人事も握り、党本部の金庫も押さえ、閣僚人事も政府予算も最終決定権はすべて自分が持つ。そして二年後の参院選でも選挙カーの上に立ってマイクを握る。小泉劇場神話を再現させ、マスコミと二人三脚で票を取る。一年後に総理総裁の座を降りるのは、それが国民との公約だからであり、公約を裏切るとポピュリズムの信頼基盤が崩れるからだ。総理総裁は降りるが、権力は絶対に手離さない。最も操縦に適した傀儡の人形を後継に据える。小泉首相が権力を手離さないのには理由がある。立花隆の分析はその理由の追跡の点で少し弱い。
それは小泉首相が一度権力を手離せば、手酷い復讐の目に遭うからだ。立花隆が言っているとおり、現在の自民党は共産党と同じ組織になっていて、すなわち独裁者が総攬する体制である。この組織は
終身権力を前提とする。権力の交代は失脚か病没しかない。もし不破哲三が権力を失えば、ただちに党内で不破哲三批判が始まり、不破哲三は除名され、新日本出版社の不破哲三の著作は悉く回収され、在庫は焚書され、版は叩き壊される。地上から抹殺される。共産党の権力交代は常にそうであったし、それが民主集中制の鉄の掟であり、共産党の幹部になった者はその掟を覚悟して生きている。失脚して除名されたら終わりだ。今回、自民党が共産党のようになり、小林興起や亀井静香が袴田里見や筆坂秀世のような惨めな目に遭わされた。選挙の夜の小林興起の屈辱の様は、筆舌に尽くしがたい実に凄惨なものがあり、人格が潰される粛清の瞬間であり、自民党の議員たちは恐怖で震え上がったことだろう。
共産党のトップが権力を絶対に手離せないように、小泉首相は失脚と復讐を恐れて権力を手離せない。小泉首相の両手はすでに血で染まっている。粛清した同志の血で赤く染まっていて、死ぬまでそれを拭い取ることができない。仮にだが、もし次の総裁選で党内の反小泉勢力が結集に成功して、反小泉候補を総裁にすることができれば、今度は逆に小泉首相とチルドレンに対する無慈悲な復讐の鉄槌が振り下ろされることだろう。反撃の逆粛清劇が始まる。亀井静香や平沼赳夫や綿貫民輔は当然復党して権力の中枢に返り咲く。武部勤は党を除名され、小泉首相については例の学生時代の婦女暴行事件がマスコミで解禁されて糾弾キャンペーンが展開されるに違いない。国会での証人喚問もあり得る。そうして徹底的に偶像破壊をした上で、次の総選挙では神奈川十区に刺客候補が送り込まれる。竹中平蔵は例の汚職問題で地検から捜査される身になるだろう。悪夢が待っている。一瞬の油断でそうなる。
逆に、自民党の旧来の幹部たちは、いつ小泉首相によって狙い撃ちされ、「抵抗勢力」の象徴として血祭りに上げられるか分からない。忠誠を誓っても、やられるときはやられる。信長の家臣団と同じ。であれば、荒木村重や明智光秀のように、自分を守るためには小泉首相の独裁権力を倒すしかないと考えるのは自然の成り行きだ。党内では地下で反小泉の連絡網を張る動きがすでに始まっているだろう。民主党の小沢グループと地下で水脈を通じ、総裁選に備えてクーデターの可能性を探るだろう。そういう状況の中で来年9月を迎える。そこでは必ず安倍晋三が立つ。立花隆は、安倍晋三は暫くは小泉首相に臣従して機の熟するのを待つだろうと予想しているが、私はそうは思わない。安倍晋三は現在でも総裁候補として最高の人気がある。そして総裁選は出馬して損をすることは絶対にない。立候補すればするほど総理総裁に近くなる。次の総裁選で安倍晋三は小泉首相から離れて独立するだろう。
誰が出ても安倍晋三は立つ。そして自分の派閥を作る。民主党右派の中にも手を突っ込んで勢力を作るだろう。総裁選で負けても党内No.2の実力者となる。総裁選で勝てばそのまま総理総裁になって、296議席と翼賛民主党をバックに憲法改正に踏み込む。安倍晋三の人気は今が絶頂で、この先どうなるかは実は予断を許さない。カネの疑惑も出るだろうし、もっと不安定な要素は北朝鮮拉致問題の帰趨で人気凋落の事態に追い込まれることである。安倍晋三は拉致問題を利用してこれまで無闇に点数を稼いできた。恩を売ってきた「救う会」が安倍晋三に反旗を翻す可能性は十分にある。米国の対北朝鮮政策が変わり、再び右翼に代わって外務省が北朝鮮外交の主導権を握り直しつつある現在、対北朝鮮挑発外交を扇動してきた安倍晋三は微妙な立場にあり、マスコミ・安倍晋三・救う会の三者間の均衡が不安定化しつつある。安倍晋三はどこかの時点で「救う会」と絶縁する挙動に出る可能性がある。
人気のある今こそが総裁選に立候補する好機だ。だから安倍晋三は必ず立つ。院政を目論む小泉首相は、総裁選で安倍晋三に勝てる候補者を傀儡に据えねばならず、私の見通しでは、その最も適当な人材が野田聖子ということになる。竹中平蔵では安倍晋三に勝てない。自民党内の多数を制することが可能な人材ではない。野田聖子と小泉純一郎の二人がセットになって、そこではじめて安倍晋三に勝てる。また、反小泉の党内地下水脈勢力が担ぐ神輿を奪い去ることができる。野田聖子の今回の郵政法案への態度をめぐる裏切りについて、野田聖子の転向と変節を非難する声が上がっているけれど、私は実はそれほど野田聖子を非難する気にはなれない。野田聖子は総理の座を掴もうとしているのであり、権力への最短距離を歩こうとしているのだ。政治家ならばそれはある。悪魔と手を握る瞬間はある。それでも総理になってやりたい政策(子育て)があるのなら、それでもよいではないかと野田聖子を庇うのである。