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本と映画と政治の批評
by thessalonike2


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創価学会の政治 (3) - カリスマと信濃町を動かす二つの動機
創価学会の政治 (3) - カリスマと信濃町を動かす二つの動機_e0079739_12285132.jpgあるところからメールを頂戴して、現状に異論を唱えている学会員のブログを紹介された。こういう情報提供は本当にありがたい。ブログで政治を議論する醍醐味のようなものを感じる。決して内部批判を歓迎というような下劣な意味ではなく、そうではなくて、個人の生の声で内側から真摯に学会を論じている(共産党のカッシーニのような)ものを知りたいのだ。一日五千人がアクセスする「世に倦む日日」で紹介するので、他にもあれば、ぜひ積極的な情報提供をお願いしたい。さて、カリスマはいま何を考えているのか。基本的に創価学会の組織の動機はオーナーであるカリスマ個人の動機である。カリスマが全てを意思決定している。冬柴鉄三の次の幹事長人事を決めるのもカリスマであり、自民党の国民投票法案への対応の最終決定を指示するのもカリスマである。私から見たところ、現在のカリスマの頭の中にある最大の関心事はノーベル平和賞の獲得である。息を引き取るまでに何としても受賞の栄誉に浴したい。



創価学会の政治 (3) - カリスマと信濃町を動かす二つの動機_e0079739_12134381.jpgだから学会のあらゆるリソースをそこに注ぎ込み、組織を総動員してその夢の実現に邁進している。自民党はカリスマの最後の欲望をよく心得て、77歳の老人をうまく騙して操っているのではないか。確か二年ほど前に文科省が「日本人ノーベル賞獲得大作戦」みたいな政策を提唱したことがあった。具体的に何年で何個と獲得数の目標を設定して、積極的に日本政府が賞獲り活動を展開するという話だったと思うが、これはカリスマと信濃町に対する巧妙な政治工作だったのではないか。例えば、緒方貞子が候補に上がった場合はカリスマにチェンジするように働きかけるとか、内々の(嘘の)口約束みたいなものを囁いていたのではないかなどと想像する。そろそろ日本人の二人目の平和賞の受賞者が出てよい時期であり、委員会は何人かをリストアップしているはずで、緒方貞子以外にも、例えば小野洋子などが有力な候補者であるように思われる。カリスマがそこに割り込むためには、政府の口利きはありがたい。

創価学会の政治 (3) - カリスマと信濃町を動かす二つの動機_e0079739_1213531.jpg果たして本当に政府の口利きが委員会に影響を及ぼせるのかは不明だが、カリスマにとっては待望の有力な援軍で、日本政府が総力を挙げて賞獲りに動いていると思えば、その実現可能性を信じることができるに違いない。カリスマが政権から離れられない理由の一つはそこにあるように私には見える。そして創価学会と公明党のイエスマンたちは、腹の底では「無理に決まっている」と確信しながら、カリスマの前では「先生、来年こそ間違いありません」などと心にもない諂言を言って、組織幹部の地位を安泰させているのではないか。カリスマはきっと欺かれているのだ。屡々見られる組織の老害現象なのである。カリスマが自民党政権と癒着していなければいけない理由がもう一つあって、それは国会証人喚問の忌避である。最近はこの動きはすっかり鳴りを潜めたが、検索エンジンを駆動させると関連記事がポロポロ出て来る。公明が新進党の一部であった十年前は、カリスマの国会証人喚問はかなりリアルなマターであった。

創価学会の政治 (3) - カリスマと信濃町を動かす二つの動機_e0079739_12141615.jpg叩けば埃の出る体と言うか、何やら怪しげな話が次から次へと出て来る。喚問要求の疑義は具体的で、単に政教分離の一般論の審糾に止まらず、生々しい人生の躓きの問題が噴出していて、もし実際に召致されてTV中継のカメラの放列の前に身を曝されていたら、カリスマの権威失墜は目も蓋わんばかりの破滅的局面を迎えていたに違いない。指導者たる男にとって、女の問題を突きつけられる事ほど羞恥で不面目な失態はないのだ。この英雄は歴史的諺言を裏切らず、若い頃から激しく激しく色を好んだ。カリスマが企業の経営者であったなら、それは単に艶福な人生の評価で収まり得たのだろうが、カリスマが統率する組織は宗教教団であり、すなわち必然的に禁欲を説く集団であり、禁欲を説きつつ指導者が破戒を犯していた事実が暴露されれば、指導者の権威失墜は疑うべくもない。カリスマと組織幹部は証人喚問の破局を恐れ、自民党政権に対して妥協に次ぐ妥協を重ねてきた。毒の次は皿、皿の次はまた猛毒と。

創価学会の政治 (3) - カリスマと信濃町を動かす二つの動機_e0079739_1214622.jpg私は疑っているのだが、最早ひとかけらの理念も持たない公明党の政権貴族が、料亭で接待漬けされた後に、政策妥協を組織決定すべくカリスマの最終承認をもらうとき、その殺し文句が、「これを拒否したら先生の証人喚問になりますよ」という内部脅迫ではないかと思われてならない。テロ対策特措法も、イラクへの自衛隊派遣も、郵政民営化法案も、大事な問題をスルーパスさせるときの組織内部のキラートークはこれだったのではないのか。中堅幹部以上のところで、「先生を喚問から守る」という大義名分が麻薬中毒のように組織を蝕んだのではないか。カリスマを守り組織を守るためには敢えてそれをしなければならぬという組織防衛の論理が、免疫耐性のように作用して創価学会の体質を変え、改憲にも、海外派兵にも、新自由主義にも無頓着で不感性な体制内既成組織にしてしまったのではないか。それは日本一巨大な政治組織だが、たった一人の人間が動かしている。その老いた指導者を衝き動かしている動機は明暗二つある。

明はノーベル平和賞の欲望、暗は国会証人喚問の脅迫。
創価学会の政治 (3) - カリスマと信濃町を動かす二つの動機_e0079739_12172074.jpg

by thessalonike2 | 2005-10-31 23:30 | 創価学会・共産党 (11)
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