
英語ファシズムの問題について、さらに続けて、海外に駐在してお仕事されている方からご意見を頂戴したので転載して紹介させていただく。回答というわけではないけれど、ひとつ思い浮かぶのは中国で、中国も恐らくエリート層はどんどん英語にシフトしているのは間違いないはずだが、中国の国内には改革開放を担ってきた数多くの日本語エリートの存在があり、そして日本企業の大陸進出を支えている若い日本語エリートがいる。中国にはTOEICのような(政府による)日本語検定制度があり、毎年それに何十万単位の人間が受験して資格取得に励んでいる。それは日本にとっては本当に大きなポテンシャルであり、無形海外資産(国富)であり、これを活用しない手はないと私は思っている。少し話が英語ファシズムから飛躍するが、早く日中関係を正常化して東アジアに共通通貨圏を作ること。那覇に中央銀行を置いてマハティールを総裁にすること。副総裁は榊原英資。それをやれば、少なくともドルという武器を無力化して新しいルールブックを持つことができる。共通通貨の名前は「ウェン」または「アジア」でどうか。
はじめまして。こんにちは。貴サイトを毎日興奮しながら拝読しております。11月20日の記事とそれに続く「米国留学生」さんの投稿を読んで、強く共感するところがあり、投稿させていただきます。かつて私は、グローバリゼーションというものを、世界のすべての人間が国籍や民族の違いを越えて自由かつ平等に交流するような未来の世界像として、無邪気にイメージしていました。海外駐在員として様々な環境を体験してきた今、グローバリゼーションなど幻想に過ぎないということをようやく感じ始めています。グローバルとは名ばかりで、その実は英語を母国語とするアングロサクソンによる世界支配なのではないか、という気がしています。現在私は、スイスに本社を置く多国籍企業のドイツ支社に勤務しております。同僚は9割以上がドイツ人です。それなのに、文書や会議で使われる言語は英語です。本社が「Golden Language Rule」なるものを策定し、英語以外の言語使用を禁止しているからです。本社もまた英語圏ではないのに、です。
フランス語もドイツ語もできない私にとっては、このルールはありがたいものですが、それはベターでしかなく、ベストの環境ではありません。英語ができるといっても、日本語と同等のレベルで使いこなせるわけではありませんから、所詮ネイティブには敵わないわけです。そして、気づきました。日本人の私は、いくらいい仕事をしても、いくら英語がうまくなっても、英語を母国語とする人間に使われるという立場は一生変わらないのだ、と。実際、当社の重要なポジションにはイギリス人とアメリカ人が座っています。私は今まで、世界の歴史や文化の構造を「西洋対東洋」という枠組で捉えていたようですが、「アングロサクソン対それ以外」と捉えるほうがいろんなことに合点がいくような気がしてきました。そして、アングロサクソンによる世界支配という構造は容易に変わるものではない、と思わざるを得ません。まさしくご指摘のとおり、英語とドル(またはポンド)という英米人が作ったルールブックによって、どう戦っても英米人が勝つようにできているシステムのなかで、Win&Winゲームが進行していくだけなのです。
この流れを止めるためには、非アングロサクソンが団結するしかないわけですが、残念ながら、私たちには共通言語がありません。フランス人とドイツ人でさえコミュニケーションがとれないのですから、日本とヨーロッパが反英米で団結することなど夢のまた夢です。たしかに、日本がロシアとともにEU加盟を表明するというビジョンは非常におもしろく、この記事を読んだとき私は思わず膝を打ちました。私の知るヨーロッパ人の心情は、一番同盟したくない国がアメリカ、二番が中近東(トルコ含む)、三番がロシアで、アジアは眼中になく、ただし日本だけは例外で、まんざらでもないと思っているような気配です。やはり壁となるのは言語です。「米国留学生」さんが書かれていることと同様のことを私も痛感していました。英語は道具でしかなく、重要なのは中身であるべきです。しかし、そのたかが道具の上手い下手によって言説が評価されがちなのが現実で、母国語だからというだけでそれを上手く使える英米人は不当に恩恵を受けています。
この点に着目してエスペラントのような試みがあることを私は高く評価します。地球人が共通語を必要とする日が来るとして、そのとき日本語が英語に取って替わる国際語になれる可能性は低いでしょう。しかし重要なのは、英語であれエスペラントであれ日本人が国際語を母国語と同等に使いこなせる教育水準に達していることではないでしょうか。モデルケースとして私はオランダを思い浮かべます。自国のアイデンティティを保ちつつ、英米人と対等に渡り合える、つまり不利な戦いに勝てる国民を育てることは可能なのだと思います。もちろん時間はかかりますが、このまま英米人の世界戦略にジリジリとやられていくのはあまりに悔しすぎます。日本人が日本語に対する誇りをもちながら、言語の不利を撥ね返して、相手の土俵においても臆せずに戦える国民になれることを私は確信しています。英語の国際語化については、以前ホームページ(以下URL)に書いたことがあり、併せてお読みいただければ幸甚です。今後も、示唆に富んだ切れ味の良い記事を楽しみにしております。
http://homepage2.nifty.com/spider/hisMelan42.html
天下三分の計。世界をドルとユーロとアジア(ウェン)で三分割する。中国を米国から引き離す。