本と映画と政治の批評
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B層 - 「B層にフォーカスした徹底したラーニングプロモーション」
e0079739_1455422.jpg総選挙を考え直すとき、最も重要なキーワードは「B層」であるだろう。私が流行語大賞の審査委員なら、この言葉を今年の大賞に選んだ。この言葉の持つ意味は深刻で考えるべき中身が多い。本来なら、このB層問題について政治学や政治思想史学が本格的かつ集中的に分析と考察を加え、その意味や構造や背景を抉出しなければならないと思われるが、これまでその方面から特に説得的な議論が提起されているようには見えない。竹中平蔵と私的に懇意な関係にある有限会社スリードが「郵政民営化・合意形成コミュニケーション戦略」と題して折込チラシの企画書(PDF)を作成し、それを政府広報に事業提案したのは昨年のちょうど今頃の話である。事件としての「広報疑惑」は国会でも追及されたし、選挙前にマスコミで詳しく報じられたとおりだが、勝てば官軍ということなのか、自民党が選挙で圧勝した途端、この竹中平蔵の不正口利き疑惑を追及する者は誰もいなくなった。



e0079739_14552040.jpg問題の「B層」は、その広報戦略ペーパーの冒頭に登場する。マーケティングでは一般に、最初にポジショニング分析の手法で市場を図式化し、市場に投入する商品や広告の有意義性と説得性を浮かび上がらせる方法をとる。縦軸と横軸で切った座標系によって市場が特別な概念モデルとして表現され、セグメントされた四つのディメンジョンの差異の論理が、企図する具体的なマーケティング戦略を合理化する。竹中平蔵が採用したスリード社のペーパーでは、新聞折込広告を使って郵政民営化を説得すべきターゲット層がB層として設定されるのだが、この層の抽出にあたっての座標軸の論理は、すなわち縦軸がIQの高い低いであり、横軸が構造改革に否定的か肯定的かの差異であった。IQが低くて構造改革に肯定的な層、図面右下の象限にポジショニングされた層が「B層」と名付けられ、この層に向けて郵政民営化を洗脳する新聞折込チラシを打つように企画書は提案している。

e0079739_14552969.jpgこれを見ながら思うことは幾つもあるが、まず重要な点は、基本的にこの市場概念図と同じ考え方、同じ思考態度で総選挙の自民党のコミ戦(コミュニケーション戦略)が立案され実行されたという事実である。竹中平蔵も小泉首相も世耕弘成も、このモデルを日本社会を正確に捉えた実像だと納得しているのであり、この社会層配置の表象と方法を認識の基礎にして政策立案や政策説明をすれば成功(支持・得票)に繋がると確信していることである。実際に、選挙では郵政民営化以外に何も言わなかった。その政策の正当化にあたっては「官から民へ」のスローガンの連呼と公務員攻撃以外は何も言わなかった。設定したB層の仮象に向けて、B層から票を取るべく戦略全体を組んで、そのシナリオのサクセスエンドを信じて自民党は選挙戦を戦ったのである。だからこの企画書は単なる郵政民営化の折込広告の宣伝企画ではなく、自民党の選挙戦略の基礎理論を提供していると言える。

e0079739_14554234.jpg昨夜「テレビタックル」の年末特集をやっていたが、出演している山本一太や平沢勝栄においてスタジオで語って視聴者に聴かせるトークは、全てこのB層理論を前提したものであり、カメラの向こう側にいるIQの低いB層視聴者から支持や共感や納得を調達すべく演技して台詞を吐いているのである。逆に言えば、A層やC層に向けてのメッセージは意識していないのだ。C層から反感や嫌悪を買ってもそれは失敗にはならないのである。B層がリアルなものであることは彼らは選挙の経験で確信した。だからおよそ国会議員とは言えないような痴態や狂態を見せても平気なのだ。彼らは自分自身はA層であると自己認識し、A層が幸福になる格差政策(失業増税政策)を予算と法案で推進しながら、B層をコミ戦で騙すことで、本来はその格差政策(福祉破壊政策)に反発するはずのB層から支持を取り付けられる真実を発見し、そのコミ戦手法で成功を収め、成功に酔い痴れているのである。

e0079739_14572496.jpgこの企画書が暴露されて竹中平蔵と小泉首相が慌てたように、竹中平蔵は大衆一般を自分が彼らを騙して収奪すべき愚鈍なマスだと明確に認識している。竹中平蔵にとっては、大衆を騙し、大衆を洗脳して操縦し収奪することが政治なのであり、要するに大衆とは家畜の存在なのだ。税金だけ払わせて生かせる奴隷なのである。それはエリートである自己の当然の正義なのであり、米国の政治はそれを露骨にやっているから国家の繁栄を実現できているのであり、日本の政治はタテマエの理想論に捉われて躊躇してるから経済が没落するのである。竹中平蔵と小泉首相と世耕弘成の頭の中には憲法にあるような近代民主主義思想の片鱗もない。それは単にタテマエでありレトリックの世界のものに過ぎない。本当ならB層理論の仮説は自民党の選挙の敗北という形で、その無意味こそが証明されなければならなかった。非有効性が明らかになり、国民大衆をバカにした権力者には天罰が降るという教訓こそが示されなければならなかった。

e0079739_14555720.jpg国民は自分をバカにした権力者の方に一票を投じ、民主主義や人権思想に立つ側を敗北させ、恥を掻かせ、仮説であったB層理論の有効性と真実性を実践で検証する社会科学的結果を現出した。だから私はB層なるものを事実として認識し前提することに躊躇しない。国民は麻薬中毒になって半ば頭が狂っているのである。1940年代の日本人が今から見れば集団発狂して異常行動しているように、現在の日本人も病んで精神異常をきたしているのだ。そしてそれは、異常を異常と言わず、異常を正常と言いくるめ、変化する状況を常に肯定し、合理化正当化して批判意識を削ぎ殺してゆく脱構築のイデオロギーの麻薬のために、その悪魔の麻薬を日本人が大量に摂取してしまったがために、日本人は正常な状況判断ができなくなっているのである。脱構築主義者の説くところによれば、爆笑問題は時代の最先端の俊英な政治評論家であり、その知性溢れる社会批評を評価できない者は固陋頑迷で時代錯誤の近代主義者であるらしい。

社会成員の多数が発狂すれば、正常な方が異常になる。
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by thessalonike2 | 2005-12-27 23:14
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