半年ぶりの報告を。最近は一時に較べてアクセスが半減している。ブックマークからブログに来訪するいわゆる固定ビジター数の変動は小さいが、ネット右翼による罵倒攻撃を目的とした揶揄リンクが減ったために全体のアクセス数が減少した。だが、これまでのアクセス累計は多少の成果をブログに齎せていて、ブログ著者の達成感の根拠となっている。それは具体的にはキーワード検索でのステイタスということになる。「
ダ・ヴィンチ・コード」の単語検索では上から8番目と9番目に「世に倦む日日」が登場する。妥当な順位と思われるが、活字になったものも含めて「ダ・ヴィンチ・コード」を思想史的な視角からこれほど深く掘り下げた批評は他にないだろう。特にジェンダーの問題に焦点をあてて「ダ・ヴィンチ・コード」を本格的に論じたのは「世に倦む日日」が嚆矢であったと自認する。この作品は本当に面白かった。私にジェンダー論事始の機会を与えてくれたと言える。「性の抑圧」が実は「女性の抑圧」と等値であるという歴史的事実を初めて覚醒させられたのがこの本だった。
「ダ・ヴィンチ・コード」の面白さは美術史の知識や謎解きの推理だけではない。キリスト教史とセックスの問題について正面から迫って読者に何事かを考えさせる主題にある。なぜ魔女は魔女でなければならず魔男ではないのか。なぜ教会は無実の女たちを大量虐殺したのか。その謎は性の神秘と確実に結びついている。古代否定としての中世。西洋政治思想史の重要な問題がここにある。この検索順位は暫くは変わらないだろう。ネット検索を利用する者の動機は様々だろうが、小説を読んだ後で「世に倦む日日」の
批評と対面してヨーロッパ思想史を考えていただければ幸いと心得る。ブログが学研のムックで「評論・ジャーナリズム部門」
第3位のランクを得たとき、今後も日本のブログ文化の発展に貢献したいと謝意を述べたことがある。「ダ・ヴィンチ・コード」の批評はその志(こころざし)の一部をなし、検索順位はその意志の中身を客観的成果として埋めるものである。ブログは日記だが、公開するものである以上、それは文化的な作品の内実を持たなければならない。
文化的な中身という意味では、「アフターダーク」や「ブラザーフッド」の批評はもっと検索上位に位置して然るべきだが、現在のステイタスは不本意である。この二点の批評についても、出版されたものを含めて「世に倦む日日」以上のものは他に見ていない。ようやく「
シルミド」は上位に達しているが、これは映画における歴史の捏造という検索者の問題関心にブログが答えた結果であろう。満足すべき結果として「
特別な一日」の第4位、第5位がある。さて、昨秋から「世に倦む日日」はすっかり政治ブログに模様替えしてしまったが、その方面でのリザルトはどうか。報告すると、まず「
前原誠司」の検索では第9番目と第10番目の順位結果が出る。ご本人には恐縮だが、ご容赦を願いたい。「菅直人」の検索では第12番目の結果となる。「亀井静香」は13番目、「城内実」では22番目、「不破哲三」では27番目。意外なところでは「
堀江貴文」が第16番目の上位に出ている。それから問題の「
女系天皇」は第6位の高位置にあり、ネット上に数多くない女系天皇容認論の筆頭に位置する。
歴史認識の問題に関連した検索結果では、「
西尾幹ニ」が第10位と第11位の位置を取っている。「東京裁判」が37位、「南京事件」が34位、「朝鮮戦争」が18位、「竹島問題」が30位。「未来をひらく歴史」では第5位と第6位で、これは販売促進への貢献で著者と出版社から謝辞をもらってもいいと思うが、現在のところ何も連絡はもらっていない。「国民の歴史」は29位。「秦郁彦」では15位。ニッチだが「
ユネスコ憲章」の第7位はファインプレーとして自慢できる。これを紹介した終戦記念日の記事は作品として抜群だった。「ユネスコ憲章」と「世に倦む日日」は、暫くは(数年間は)互いに互いをナビゲートする関係になるだろう。あの言葉を知っていても、それがユネスコ憲章の文言である事実を知らない者は多い。だから、その事実を繰り返し言い続けなければならない。ユネスコ憲章は憲法9条と同じく人類の宝であり、世界中の庶民が守り尊重すべき基本法である。その他のところでは、「
古館伊知郎」が第12位、「
田勢康弘」が第4位、「
岸井成格」は第3位に出る。
ネット世論の掣肘として受け止めていただきたい。「
後藤謙次」は第4位。私が大好きな「
佐古忠彦」は14位と15位に出る。これは狙いどおり。同じく大好きな「王毅」は27位、「渡辺恒雄」と「中曽根康弘」は46位。プロ野球関連では「
滝鼻卓雄」が6位、「
堀内恒夫」が14位、「岩隈久志」が22位。「ハウルの動く城」は39位、「いま、会いにゆきます」が36位、「阿修羅像」は10位、「
ジュンク堂書店」は9位。「STOP THE KOIZUMI」の方での結果になるが、「小泉改革」で検索をかけると13番目に出て来る。同じく「
森田実」では9番目、「天木直人」が11番目と12番目に登場する。「五十嵐仁」も11番目と12番目の高い位置になる。コラボレーションというところか。検索を試していたところ意外な結果が出てきて、最後にご報告を申し上げたいが、何と「
新自由主義」の検索の10番目に「とくらBlog」が顔を出す。ご本人も驚きのGood Jobだろう。新自由主義とは何かを研究し続けた努力の結果として拍手を送ってあげたい。ブログの醍醐味を見た瞬間である。ネットの神は心の善良な市民に微笑む。
キーワード検索の現場こそブログのバトルフィールドである。