堀江逮捕。ここまでの捜査を遂行した検察担当および捜査に協力した関係者の尽力に謝意を表したい。そして日本の新自由主義敗北への里程標となることを希う。堀江貴文はこれほど早く逮捕されるとは思ってなかっただろう。事情聴取の後で弁護団と対策を協議する時間的余裕を見積もっていたに違いない。が、検察はその隙を与えなかった。堀江貴文を待っていたのは六本木ヒルズに籠城しての検察対策ではなく、極寒の小菅拘置所での不自由な拘留生活だった。堀江貴文はこれまで経験したことのない過酷な生活環境に置かれる。拘置所での身分は一容疑者であり、取調べに応じる以外に術はなく、これまでの我儘や贅沢は許されない。起きてから寝るまで一日の全ての出来事が不便で不快で苦痛であり、堀江貴文にとっては気が狂うほどの忍耐が必要になるだろう。取調対策と法廷戦略は予め準備しているだろうが、弁護士と接見するとき、果たして冷静な理性で状況をよく判断できるかどうか。かなり精神的に打ちのめされるに違いない。
私は堀江貴文が極寒の拘置所生活に耐えられるとは思えない。この男の幼児性と未熟性は20日間の取調と拘留には耐えられず、早期に全面自供して保釈される道を選ぶのではないか。自供してもしなくても起訴は確実にされるのであり、無罪判決を勝ち取れる確率はきわめて小さい。そして接見する弁護士から伝えられる情報は悪い情報ばかりであり、経営者として生き残る可能性を絶望させられる(堀江貴文の主観にとっては)想定外の出来事ばかりである。これから具体的に何が起きるか。まず第一にフジテレビの損害賠償訴訟が動く。フジテレビはライブドアの株券を440億円分購入したが、その資本が無価値になろうとしている。第二に株券を紙屑にされた個人株主の株主代表訴訟が起きる。第三にライブドア社員の退職が始まる。第四に買収して傘下に収めたグループ企業の離脱が始まる。第三と第四の動きは堀江貴文に対する離反や造反として世間が注目する騒動になるのではないか。すなわち新たな暴露や告発が始まる。
昨夜、堀江貴文が逮捕されると同時に、外資がライブドア買収に動く報道が流された。素早い動きだ。報じられているとおり、ライブドアには腐るほど巨額の現金預金がある。昨年、取得したニッポン放送株をフジテレビに引き取らせ、同時にライブドア株を買わせて、合わせて1470億円の現金をフジテレビから強奪した。その残りが948億円もある。この現金資産をめぐって、これから外資とフジテレビと被害個人株主が分捕り合いを演じるのだろう。堀江逮捕と同時に外資買収の報が流れたのは、ライブドア内部に外資と通じた裏切者がいるということではないか。堀江貴文にとっては寝耳に水の話だろう。逮捕されなかった役員が三人いる。その中には熊谷史人もいる。ひょっとしたら、外資を手引きしてライブドア売却を謀計した黒幕が竹中平蔵だったとすれば、あるいは弁護団にもその線で息がかかっていて、裏では堀江貴文を見限っているのかも知れない。少なくとも、そういう疑心暗鬼にはなるだろう。塀の外の熊谷史人がどう動くかが今後注目される。
外資がライブドアを買収して経営を引き継いだ場合、新しい経営陣はフジテレビの損害賠償請求に応じなければならない。全額を賠償すれば948億円の預金の半分が消失する。が、それでも500億円の現金をそのまま懐に入れられる。例えば、ライブドア10億株の単価が150円になれば、20%の2億株を300億円で購入して筆頭株主になることができる。単純計算で差し引き200億円の現金が手に入る。リスクは高いが手を伸ばす外資がいても不思議ではないだろう。その場合、イメージとしては再生機構によるダイエー処理のような具合になり、ライブドアのファイナンス部門だけを残して他を片っ端から整理売却し、さらにはファイナンス部門も潰して自社(外資本社)に統合してしまうだろう。このストーリーが現実化した場合、ライブドアの株券は売り抜けた者で一株200円で売れる。そしてそれは全体の20%で、個人株主のうちの三分の一であり、残りの三分の二は売り抜けられず、旧経営陣を相手に訴訟するか、泣き寝入りするしかない。
焦点の脱税だが、堀江貴文や宮内亮治は、一体どのくらいの不正私財をどこに隠匿しているのだろう。昨夜、特捜部が発表した逮捕容疑の報道の中で、投資組合を使った企業買収と株価つり上げのスキームの中で、ようやく、株を売って儲けた利益を還流した経路が
スイスの銀行である事実が判明した。ブログで何度も指摘しているが、スキームで不明な点は株を売った外国市場と株を買った外国投資ファンドの正体である。その点がまだ地検から明らかにされていない。そこが明らかにされる時は、証取法違反だけでなく脱税容疑が固まって、法人税法と所得税法違反で再逮捕される時点だろう。同時に外国為替管理法違反も付加されるのではないか。いずれ詳細がリークされるだろうが、その外国投資ファンドは、ライブドア(投資組合)から外国市場で株を買って、その株を今度はまたマザーズで売り捌いていたはずである。そうでなければ高い株を買っただけで彼らの儲けにならない。つまり買った値段よりも確実に高い値段で日本で売れる仕組をライブドアと密謀して買っていたはずで、要するにその外国投資ファンドも錬金術スキームの一部(共謀)である。
スイスの銀行には国内に円還流しなかった大量のドルとユーロが眠っているはずだ。