表面上の態度は殊勝に取り繕ってみせていたが、会見の言葉を聴き取り、表情を確かめれば、この男が心の中では露ほども反省していないことは明らかな、不愉快で苛立たしい謝罪会見劇だった。苛立ちを覚えさせられたのは、永田寿康の無反省な会見内容以上に、会場に集まった頭の悪い記者たちの無意味な時間潰しの質問群で、肝心な偽メール事件の真相解明に繋がる質問や追及を何一つ発することなく、むざむざと永田寿康に「謝罪会見」の既成事実を作ってやって、民主党の窮地脱出に協力してやっていた。事前に民主党から記者たちに働きかけがあったのだろうが、まさにシャンシャン会見。マスコミの国会記者というのは、どうしてこれほど緊張感がないのだろうか。まず、メールの送信元アドレスの問題について、記者たちは追及できず、永田寿康に巧妙に逃げ切られた。最初に仲介者から永田寿康の前にメールのコピーが渡されたとき、送信元アドレスが黒塗りにされていたのかどうか、永田寿康の口から確認をさせる質問は最後まで出なかった。
これまでの民主党側の説明では、一転二転しながらも、現在のところは、永田寿康が最初に受け取った時点で黒く塗り潰されていたことになっている。だが、それでは、発信者が不明なメールを根拠に、何も確認しないまま、それを堀江貴文発信のメールだと言って国会で武部勤を糾弾していたわけで、ここに重大な問題が発生することになる。この点は今日の朝日新聞の
記事にもあるとおりで、記者会見では当然この問題に質疑が集中して、永田寿康が追及されるものだと思っていた。ところが記者たちの質問は腫物を恐る恐る撫でるようなもので、疑惑を正面から質して真実を明らかにしようとしたものは何も無かった。現在のところは、デフォルトでは最初から黒塗りだったという話になっている。だが、2/19の「バンキシャ」の中でも出ていたが、永田寿康はさも送信元アドレスを見たかの如く、「堀江氏は何種類ものメールアドレスを使い分けているから」と言っている。今日の会見では、メールのボディを見て堀江発のメールだと信じたという話に収めていた。
黒塗り問題については依然として疑惑が残る。仲介者に騙された格好に取り繕った永田寿康と民主党だが、果たしてそれで最後まで押し通すことができるだろうか。私は、永田寿康と仲介者が共謀してメールを捏造したという疑念を未だに払拭していない。メール捏造を隠蔽するために民主党が「送受信アドレス同一人物」という(仲介者に責任を被せる)架空話を作っているのではないかと疑っている。これが一点。それと、永田寿康がメールの信憑性を(送信アドレス黒塗りでありながら)確信した理由について、今日も永田寿康は仲介者との親密な関係や信頼できる人物である点を強調していたが、この人物についてはすでに記者たちは多くの情報を得ていて、週刊誌が書いたとおり、出版業界でこれまで数々のトラブルを起こしてきた要注意人物であることを知っているはずだ。なぜそんな人物が持ち込んだメールを永田寿康は簡単に信用したのか。どうしてそのことを永田寿康に向かって正面から質問しないのか。それこそが国民が永田寿康に聞きたいことなのだ。
LD関係者とされる情報源の存在についても、結局のところ、永田寿康にはぐらかされて存在するかどうかさえ明らかにならなかった。会場にいる新聞記者の知識や関心が一般のテレビ視聴者以下のレベルで、何の独自取材もしておらず、何の独自情報も得ていないのである。大事な記者会見だったが、
偽メール事件の真相解明に向けての十分な追及はなされなかった。幕を引くにはあまりに多くの不可解な疑惑が残っている。今後は仲介者に焦点が向けられて、週刊新潮の次のスクープを狙う雑誌が出てくるだろう。仲介者は裏に隠れ続けることは不可能だ。それでも仲介者が釈明に出て来ないのであれば、武部勤と二男は永田寿康とフリー記者を名誉毀損で刑事告訴してもらいたい。そうではないと偽メール事件の真相が何も明らかにされない。永田寿康は現在でもメールの中身について事実無根と思っていないと言っているのだから、刑事告訴する理由は十分にある。国会とマスコミが真相解明できないのであれば、検察と裁判所に頼る以外にない。
今日も河村たかしがテレビに出演して、メールをPCの画面で見たという証言を繰り返していた。
昨日の続きだが、これはやはり奇妙ではないか。民主党関係者のPC上でどうやってメールの現物を再現できるのか。PCの上に同じ旧バージョンのユードラを走らせることはできる。だが、仲介者のメールアカウントを持っていない民主党関係者が、どのようにしてユードラの画面の発信元欄に仲介者のアドレスを表示させることができるのだろう。メールを使うためには取得したアカウントでメールサーバに一度ログインしなければならない。河村たかしの説明では、受信先と発信元が同一アドレス名であるユードラのメールが民主党関係者のPC上で表示されていたと言うのだから、そういう環境を現実に再現するためには、仲介者のアカウントのパスワードを民主党関係者が盗み出してメールサーバにログインするしかない。それはあり得ない。状況を強引に解釈して想像を巡らすならば、すなわちそのPCは永田寿康のPCで、永田寿康が自らユードラを操作して偽メールを捏造していたという具合になる。
軽率な永田寿康が仲介者に騙されていたという話は、私には俄には信じられない。それは嘘ではないのか。