今日発売の週刊文春と週刊新潮でようやく西澤孝の実名が記事の中に出た。
週刊新潮には本人の写真も掲載されている。見るからに格闘技系の風貌で、記者とかジャーナリストの言葉が一般に連想させる容姿とは遠くかけ離れている。率直なところ、「ガセ記事常習犯」の前科もさもありなんの印象を受ける。週刊新潮の五ページの記事は基調として創価学会陰謀論で偽メール事件を推断するものだが、全体として意図的で眉唾的な佞報の性格を免れない。ただ重要な情報が提供されていて、西澤孝の防波堤となってきた弁護士(
山下幸夫)が創価大卒の筋金入りの創価学会員だったという指摘である。永田寿康が二度にわたって国会で創価学会と公明党を中傷攻撃して懲罰動議に付された経緯を考えれば、この情報は意外で怪訝だが、どうやら西澤孝と創価学会とは直接には何の関係もなく、何か関係があるとすれば、佐藤晶の方がこの弁護士の選定に関わっていたのではないかと推測される。
佐藤晶と創価学会との関係を印象づける情報は、
週刊文春の記事の冒頭にも出ていて、そこで西澤孝本人が文春記者の取材に答えて、「Xが創価学会ということは最近知りました」と言っている。Xというのは「Dumont」の編集長であり西澤孝の相棒である佐藤晶のことである。西澤孝は遂に実名が公表されたが、佐藤晶は現時点ではまだ実名が伏せられている。両誌の記事を読んでも、西澤孝がその場の思いつきと勢いで風呂敷を膨らませてゆく山師的な怪人物である印象を受けるが、週刊文春の記事を読むと、当の西澤孝自身が今回の偽メール事件を創価学会陰謀説で脚色して説明しようとしているかの如く見える。さらに週刊文春の記事で窺えることは、偽メール事件の「仲介者」である西澤孝と佐藤晶の二人の関係、弁護士も加えた三人の関係が少し微妙になってきていて、これまでのような弁護士が表で報道陣をブロックして水も漏らさぬ一枚岩の完黙体制に軋みが生じ始めていることである。
むしろ西澤孝本人が、この機を捉えて積極的に騒動の表舞台に身を乗り出そうとしているように見える。この元フリー記者は、もう一人の相棒だった永田寿康以上に目立ちたがり屋で喋りたがり屋だ。週刊文春の記事の末尾に、西澤孝と弁護士が取材への証言をめぐって二人で齟齬と確執を演じ合う件(くだり)があり、文春記者がその状況を記事にして伝えている。詳しくは記事を読んでいただきたいが、つまりここから何が分かるかと言うと、西澤孝が佐藤晶と弁護士と袂を分って、単独で行動に出ようとしている気配が感じられるのだ。32歳の若い西澤孝は、今度の事件を逆に利用して、これを契機に有名人の仲間入りをして、憧れのテレビ世界に自分を近づける誘惑に動かされているのではないか。週刊文春のインタビュー現場での西澤孝を想像すると、相当にノリのよい躁(ハイテンション)で、あの「サンデージャポン」で無分別に咆哮喚叫する出演者たちの姿を彷彿させる。西澤孝はテレビに出るのではないか。
各局ワイドショーは出演させたくてたまらないだろう。高い視聴率が取れる玉だ。西澤孝にはぜひテレビに出て、当事者として
偽メール事件を証言してもらいたい。永田寿康との関係や民主党との関係を洗いざらい白状してもらいたい。西澤孝の性格から予想すれば、どれほどガードを固めても必ず本音は洩れ出るに違いない。民主党の嘘がそこで暴露される。これまでの辻褄合わせが破綻して「事実説明」の積み木が崩れる。釈明担当の細野豪志がスタジオで顔面蒼白になる場面が見られるだろう。週刊文春の記事は六ページのボリュームで中身もそれなりに濃い。原口一博が永田寿康と一緒に西澤孝に会った日について、最初に面談したのが2月1日ではなく1月26日だったという新事実も紹介されている(P.32参照)。これまで原口一博は2月1日に初めて記者と会ったと言っていたが、週刊文春の記事が事実なら、原口一博はテレビで嘘を言っていたことになる。細かい点だが、要注意の問題と思われる。
さて、昨日の
サンスポが重大なスクープを報じていて、それによると、永田寿康が28日の謝罪会見でメールの内容の信憑性や送金疑惑に含みを残した点について、実はこの会見内容が予め民主党執行部によって指示されたものであった疑惑が浮上した。これは事実であればきわめて重大な問題だ。現在は、民主党執行部は偽メールだと認めて謝罪したのに永田寿康が往生際悪く居直っているという事態(既成事実)になっている。だからこそ懲罰動議による厳罰処分必至という情勢になっているのだが、サンスポの記事によれば、実はそれは執行部からの指示であり、謝罪会見の時点で永田寿康の釈明と(その後に発表予定の)執行部の見解との間に齟齬はなく、両者一致したものだったというのである。サンスポの記事では執行部が世論の反発を懸念して急に態度変更したという話にしているが、実際は恐らくそうではなく、簡単に言えば、永田寿康が前原誠司に騙されたのである。最初から前原誠司が仕組んだ奸計なのだ。
永田寿康にそれ(疑惑がなお残っていると信じて調査の作業を続ける旨)を言わせて、世論と与党の非難の矛先が永田寿康一人に集中するように仕向け、民主党執行部は永田寿康を捨て石にして火事場を潜り抜けようと謀ったのだ。永田寿康の謝罪会見と前原誠司の釈明会見の間はわずかに四時間ほどしかなく、しかもその時間は党内の会議で埋められていて、執行部が永田寿康の謝罪会見に対する世論の動向を判読するのは時間が短すぎる。そして前原誠司は、28日の夜遅くの代表会見の場で、昼間の永田寿康の会見での発言内容に対して、「一点だけ、党の認識と異にする部分がある」と言っていて、永田寿康と民主党の間で事件への見解が違う点を明確に指摘していた。もし仮に、この「認識を異にして(いる)」という(永田批判の)発言が、予め永田寿康にあのように送金疑惑を含み残す釈明を党としてさせた後でそれを覆して行われたものであるなら、その詐術の悪質さは犯罪的としか言いようがない。前原誠司の姑息で陰険な自己保身の責任回避手法。唖然とする。永田寿康は騙されて嵌められたのである。
サンスポが抜いた戦慄の疑惑報道について、役員室長の細野豪志はどう弁明するのだろう。