今日(3/10)になって渡部恒三から「永田寿康は議員辞職すべきだ」という
話が出た。観測気球だが、予想どおりの動きである。昨日、自公が幹事長・国対委員長会談を開いて「永田寿康は自発的に議員辞職せよ」という認識で一致したという報があったが、この報道はNHKの7時のニュースで丁寧に放送された。与党のメッセージが示されている。懲罰の要求内容は「登院停止」で決定しているのだが、民主党の検証チームに揺さぶりをかけて、3/17までに永田寿康を議員辞職させろと迫っているのだ。つまり、3/17に国民を納得させられない出鱈目な検証結果を出したら、間髪を置かずに西澤孝を国会招致するぞと脅しているのである。議員辞職要求は本気だ。3/17の報告次第で再び偽メール政局になる。渡部恒三のこの動きにはもう一つの理由があって、それは党内事情、すなわち検証チームのデッドロックと権力闘争状況である。3/17のデッドラインは避けられない。だが、
偽メール事件の真相を隠さずありのまま出すわけにはいかない。出せば代表辞任では済まなくなる。検証結果をどう発表するかは悩ましい問題で、西澤喚問は絶対に避けねばならず、収拾の落としどころは永田寿康の議員辞職以外にない。
この渡部恒三の観測気球は、検証チーム座長の玄葉光一郎の意を受けたものだろう。代表選前倒しは前原誠司に潰されたが、検証チームの中が紛糾して再び渡部恒三が勢いを取り戻したのである。日曜日の「サンデープロジェクト」がこの問題を大きく取り上げれば、来週の永田町界隈の動きはそれに影響されて「永田辞職」が焦点になる。永田寿康が議員辞職となれば、当然、責任問題が波及して前原誠司も代表辞任せざるを得ない立場になる。野田佳彦と永田寿康だけに責任を押しつけて済むのかという話になる。執行部と周囲は、できれば永田寿康だけに議員辞職させて、前原誠司は代表留任のままで手を打とうと立ち回るだろう。永田寿康を巧く辞職させられれば西澤孝招致の最悪の事態は避けられる。適当な辻褄合わせの検証報告でも何とか逃げられる。永田寿康に議員辞職を飲ませて、さらに真相の口チャックを得るためには、本人にカネを握らせる以外にない。最低でも五億か。本当は、永田寿康は全てを喋って潔く議員辞職すればよいのだが、2/23の辞職会見キャンセルと病院入りの騒動で機会を逸した。前原誠司と同じく「生き恥を曝す」処世を選んだわけだが、その選択の失敗のツケは実に大きい。
BIGLOBEニュースのサイトの中に偽メール問題での前原代表の責任を問うたアンケート調査の
ページがあり、現時点で下図のとおりの結果となっている。ブログの読者でまだ投票を済まされてない方は、ぜひとも清き一票をお願いしたい。投票者のリモホが保存されていて、投票は一回だけしかできない仕組みになっている。このアンケート調査で注目すべき点が二点ある。一点は有効票数が2403票で、偽メール事件関連で前原誠司の責任を尋ねた各種媒体調査の中で恐らくこの調査のサンプル数が最大のものであり、したがって世論の反映として数字の信頼性が高いという点である。二点目に、このBIGLOBEの投票は偽メール事件が起きた直後から始まり、集計と開票が続けられていて、現在まで三週間ほど時間をかけて調査が進められている点がある。これまで読売新聞やJNNでも調査結果が報道されてきたが、それらはどれも短期(二日間)の調査であって、すなわち瞬間的な世論(感情)の反映である。BIGLOBEの場合は調査に時間幅があるために、言わば時々の感情的な評価が均される結果となっていて、そのため読売新聞やJNNと比較して数値結果に世論の全体的な安定性が担保されていると言える。
私は実はこの集計を毎日観察していたのだが、当初は「代表を退くべき」よりも「関係者に謝罪すべき」の票の方が多かった。また両者の間にはずいぶん差の開きがあって、それは当時のマスコミの
調査や論調と同じ傾向だったが、私はグラフを見てがっかりした記憶がある。ところが、2/22の党首討論の後から両者の票差が詰まって接戦になり、そして2/26の「サンデープロジェクト」の放送の後で「代表を退くべき」が逆転して第一位になった。その後はそのまま徐々に差を広げている。ブログを注目して読んでいる民主党の国会議員や関係者もいるだろうから、その事実を承知しておいていただきたい。「サンデープロジェクト」で見せた前原誠司の
倣岸な態度の影響は大きかった。あれから偽メール事件は永田問題ではなく前原問題になったと言ってもいいだろう。党首討論翌日の2/23の朝だったと思うが、代表の責任問題について記者から質問された前原誠司は、「代表に責任があると言っているのはマスコミだけで、国民からは代表を辞めろという声は上がっていない」と嘯いていた。確かにその時点では前原誠司の強弁も多少の説得力はあったが、現在は違う。国民世論はこのとおり前原誠司に代表を辞めろと言っている。
この世論調査の秀逸なところは、クロスで集計を出しているところであり、その点で大いに注目すべき中身がある。集計画面のスクロールバーを下にドラッグして支持政党別のクロス集計に着目していただきたい。面白い結果が出ている。すなわち、自民党支持者においては「代表を退くべき」よりも「関係者に謝罪すべき」の方が多く、民主党支持者においては逆に「関係者に謝罪すべき」よりも「代表を退くべき」の方が圧倒的に多いのである。当然と言えば当然だが、民主党支持者の方が事件についての危機感が甚だしく、党の信頼回復のためには代表辞任しかないと深刻に判断している。自民党支持者が「代表を退くべき」に投票しないのは、言うまでもなく、前原誠司を代表に温存させた方が自民党の支配にとって都合がいいからである。前原誠司を支えようとしているわけだ。民主党関係者はこのクロス集計を凝視していただきたい。この民主党支持者こそ、前回の衆院選で民主党に投票した人々である。さて、政党支持別のクロス集計はもっと面白い結果を示していて、それは社民党と共産党の支持者が偽メール事件における前原誠司の責任問題に対してどう回答したかという問題だが、この点については稿を別にして詳しく論じたい。
ライブドア事件や偽メール事件への論評は「もううんざりだ」とか「飽きた」とか言っている政治音痴のバカ左翼がいる。こういう連中の愚昧と倒錯が前原執行部を支え、小泉政権を支えているのである。