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本と映画と政治の批評
by thessalonike2


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親方二大政党制の政治貴族 - 政治改革学者はどう弁明するのか
親方二大政党制の政治貴族 - 政治改革学者はどう弁明するのか_e0079739_1754714.jpg3/6の「ニュース23」に出演した田勢康弘が、「民主党の人というのは、皆、とてもエリートで、顔がきれいで、いかにも優秀そうに見えるけれど、こんなに判断力がないのかと今回の事件で痛感させられた」と語っていた。田勢康弘は普段は自民党政権や経団連の代弁者となって、支配層の情勢認識や政治感覚を国民にダウンロードして「常識化」させるのが仕事だが、この日のコメントは一般大衆の偽メール事件に対する認識や感覚をよく代弁したものだった。同感だ。民主党の若い国会議員は、何か小学一年生のお揃いのランドセルのように、ピカピカの学歴を持っていて、そしてまた選挙で女性票に耐えられるように事前に審査を受けたようなルックスを持っているのが少なくない。東大・京大・米学留学・松下政経塾・元官僚・元弁護士・元新聞記者といったキラキラしたキャリアを棚引かせたエリートが多く、テレビ出演するときは、例えば松下政経塾何期卒のブランドを必ずプロフィールのテロップに挿入させるようにしている。



親方二大政党制の政治貴族 - 政治改革学者はどう弁明するのか_e0079739_1784742.jpgうわべの肩書きや見てくれだけで民主党は議員の候補を選んでいる。中身がない。十年前、菅直人と鳩山由紀夫が民主党を発足させたとき、全国を回って優秀な若い人材を集めると菅直人が言っていたのを覚えているが、二人が集めた「優秀な人材」とは結局こういう人材だった。政権交代可能な政党に相応しい人材という条件に拘った結果、人物や業績の中身ではなく、学歴や職歴の見映えを重視した結果だろう。菅直人や鳩山由紀夫にとっての政権交代可能な政党というのは、自民党よりも毛並みのいいエリートが集まる政党のことだった。地域で市民の権利のために活動してきたような人間がいない。生活とか権利という問題にセンシティブでセオリーを持った人間がいない。憲法を知っている(使いこなせる)人間がいない。政治をする能力や資質を持った人間がいない。キャリア官僚のポストに座り損ねて、芸能界に色気を見せているような、地位と出世と権力(威張り)だけが目的の、虚飾だけの軽薄で愚劣な俗物ばかりだ。

親方二大政党制の政治貴族 - 政治改革学者はどう弁明するのか_e0079739_176248.jpg民主党がこういう政党になっている理由は、言うまでもなく例の二大政党制のイデオロギー(幻想)による。国民がその幻想に騙されているから、民主党に対して間違った過保護偏愛を続けているのである。岸井成格やみのもんたが巧く言っているよね。「民主党にしっかりしてもらって早く日本の二大政党制を実現させたいのよ」。選挙の前になれば必ず自民党に勝たせるように世論誘導するくせに、選挙が終わってから後のテレビでは、次の選挙が始まるまで、ずっとこの言葉を言い続ける。「国民は民主党に期待してるのよ」と言い続ける。二大政党制、二大政党制と言い続ける。少し頭のいい人間なら、岸井成格やみのもんたや大手右翼掲示板のネット右翼が言っている「二大政党制」なり「期待する民主党」というものが、本当は単に自民党の横で飾りをしている翼賛機能第一の、無能な万年野党だということは簡単に分かるのだが、あまり深く政治を考えない人間は、その言葉にコロッと騙されて二大政党制の幻想を追い続けるのだ。

親方二大政党制の政治貴族 - 政治改革学者はどう弁明するのか_e0079739_1763475.jpg親方日の丸という言葉があるが、現在の選挙制度はまさに民主党にとって親方二大政党制であり、この制度があるかぎり、どんなバカでもシャブ中毒でも民主党の議員の職業政治家としての地位は安泰なのだ。選挙区で落選しても比例ブロックで当選して議員になる。今度の衆院選でも、永田寿康を含め、ほとんの候補は比例区で当選しているはずだ。選挙制度が民主党の地位を半永久的に保証している。この国の選挙制度は民主党のためにあるようなものだ。二十年前の「政治改革」がこの政治体制を作り出した。その同じ「ニュース23」の中で岸井成格は「民主党の議員の危機感の無さに驚く」と言っていたが、民主党の議員の危機感の無さを媒介しているのは、まさに岸井成格らが一生懸命作ってきた「二大政党制」の政治体制なのであり、二大政党制の政治体制があるかぎり、この政治体制を大義として、前原誠司は偽メール事件の責任をとらずに済むのだ。二大政党制の大義があらゆる民主党の不正と怠惰を浄化する。

親方二大政党制の政治貴族 - 政治改革学者はどう弁明するのか_e0079739_1764734.jpg民主党は二大政党制を日本で完全定着させるための発育段階の思春期の少年であり、全てのことは未熟ということで目を瞑ってもらえる。野党貴族。選挙区で当選する必要がないから、地域住民の生活利害を気にとめる必要もない。天下国家の偉そうなことをテレビのスタジオでくっちゃべっていればいい。政権与党になる意思や覚悟も本当はないし、なくてもいいわけで、地域経済への利益配分を考える必要もなく、そんなものに頭から関心もない。生活している住民の苦労など知らないし、興味もない。「テレビタックル」に出演して芸能人の仲間入りすることが夢なのであり、富裕層雑誌「Dumont」でバカ面を曝していれば気持ちいいのだ。たけし軍団永田町事業部でギャラを稼げればよいのである。キラキラした履歴を見せびらかせて、テレビで売れっ子の政治貴族になれれば満足なのだ。政治理念など何もない。山口二郎と後房雄、君らはこれを見てどう思う。これが君らが二十年前に「政治改革」の旗を振って作った「二大政党制」の今の姿だよ。

君ら二人は、この眼前の「二大政党制」に最大の責任がある政治学者だが、君らはこの現実を国民に対してどう弁明する。私はブログの言論で、左側から「政治改革」を推進した君らの誤謬と変節に対して自己批判を迫り続けているけれど、君らはその要求に応じず無視している。私は君らを批判し追及する私の態度が間違っているとは絶対に思わない。中選挙区制を守り抜くべきだった。日本の民主主義をここまで破壊し堕落させたのは君らがやった「政治改革」のせいだ。反省の弁はないのか。

親方二大政党制の政治貴族 - 政治改革学者はどう弁明するのか_e0079739_17192694.jpg

by thessalonike2 | 2006-03-17 23:30 | 民主党・ ポスト小泉 (15)
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