報道によれば、問題の雑誌Dumontパイロット版誌上にインタビュー記事が掲載された民主党議員は、永田寿康の他に馬渕澄夫、石関貴史、北神圭朗、藤末健三、松本大輔の五氏である。テレビ局が取材した情報では、永田寿康以外にDumont誌を購入した議員はいない。この五人の中でHPやブログ上で僅かでも事の経緯を自ら説明している議員は藤末健三だけで、3月6日の
日記において簡単に触れられている。それによれば、藤末健三がDumontのインタビューを受けたのは昨年10月17日で、民主党の同僚議員の秘書に紹介されてのものだった。先週の懲罰委員会での永田寿康の弁明でも、昨年の10月に民主党の国会議員の秘書を通じて西澤孝と知り合った事実が述べられている。現在、西澤孝と最も関係の深い民主党議員は永田寿康だが、半年前はそうではなく、別の民主党議員筋が西澤孝のカウンターパートだった。それは具体的には馬渕澄夫とその秘書である
大西健介である。
Dumont編集長の佐藤晶と馬渕澄夫の政策秘書の大西健介は、同じ71年生まれで京大卒の同期生であり、一部の情報によれば学生時代から友人関係であったと言われている。今回の偽メール事件の発端は昨年9月のデュモンマーケティング設立に遡り、社長となる西澤孝と取締役となる佐藤晶の二人が結びつき、雑誌Dumontの創刊が企画されるところから始まる。この二人の出会いなり結びつきに大西健介が深く絡んでいて、パイロット版を見ても明らかなとおり、初発から前原民主党と二人三脚の関係で創刊事業が始まったことが容易に窺える。富裕層向けメンズセレブ雑誌のDumontがこれほど民主党の宣伝一色の装いで立ち上がったのは、編集長の佐藤晶の存在が大きいと私は睨んでいる。格闘技系で虚言癖のガセネタ屋である西澤孝にはどう考えてもそのような企画や発想が似合わない。雑誌Dumontを民主党の宣伝媒体にしようという意図が最初からあったのではないか。
さらに言えば、デュモン社は民主党の下請情報機関として設立されたのではなかったのか。自民党関係の醜聞情報や不正情報を諜報したり、それを国会で追及する前に週刊誌にバラ撒いたりの情報工作をする専門機関としての位置づけが、会社設立の当初からデュモン社にはあったのではないか。富裕層向け雑誌事業というのは、あくまで表向きの見せかけの営業看板だったのではないか。そのような憶測を持たざるを得ない。今回の証人喚問の対象は西澤孝だけだが、私の見たところでは、喚問は西澤孝だけでなく、佐藤晶に対しても行われなくてはならず、そうでなければ事件の真相解明には繋がらないだろう。ひょっとしたら西澤孝は前原民主党にとってのタニマチ的な存在ではなかったのか。平沢勝栄がテレビで明らかにしたところでは、西澤孝は、ある民主党議員が国会質問の準備で役所の官僚を呼びつけて、議員会館で質問事案のレクチャーを受けるときに、その議員の横に座って聴いていたという。
実に意外な話で驚くが、意外というのは特に、フリー記者と言っても格闘技系で醜聞ネタ系の西澤孝が、国会議員が官僚から政策制度関連の専門的な説明を受ける場に同席していたという事実で、およそ似つかわしくない場所に似つかわしくない人物がいたという事実に対してである。この事実は、西澤孝が民主党前原グループのタニマチで、言わば一般市民が国会議員の計らいで国会の議場を特別に参観させてもらうのと同じような感覚で、国会議員以外に一般人が経験できない官僚のレクチャーヒアリングの機会を堪能させてもらっていたとしか考えられない。西澤孝が官僚の説明を聴いて理解できる何か専門的な政策知識を持っていたとは考えられないからだ(文科省が格闘技興行の改革について説明したとか)。民主党の外部情報機関の幹部がそこに座っていたというのは理解できる。だが、それがテレビで紹介されている虚言癖の西澤孝のイメージとは結びつかない。それが佐藤晶ならよく分かるのだ。
佐藤晶ならそこに座っていて不自然ではない(厚労省の役人による外国人労働者政策とか)。今回の証人喚問は、もういい加減にしろとか、やっても無意味だという声も多いのだが、一つ一つ真面目に考えて行けば本当に不明で奇怪な事が多い。何が真実なのか一向に正確な像が見えて来ず、ミステリアスで、真相追求への関心が衰えることはない。一部に、犯罪を犯したわけでもない民間人を強制的に国会に召還するのは人権上問題だとか、このような前例を作ったら誰も野党に情報提供をしなくなるという声も上がっているが、そういう意見は間違っている。ここで大事なのは何より国権の最高機関たる国会の権威であり、それが国会議員の手で傷つけ貶められたという問題こそが重要なのだ。永田寿康は、
偽メール事件は西澤孝の愉快犯的行為の責任で自分は騙されただけだと主張し、そして西澤孝は偽メール提供は事実無根だと言っていて、双方の主張は真っ向から対立しているのだから、議院が懲罰の判断に当たって両者の主張を聞くのは当然の責務である。
西澤孝が証人喚問を忌避するのら、事実無根などと言って逃げているのではなく、堂々と記者会見を開いてありのままを釈明すればよいのだ。