民主党メール問題検証チームの
報告書は、真相を解明する目的のものではなく、逆に真実を隠蔽して事件の幕引きを図るための情報工作である。そこには真実は語られていない。すでに多くの問題が指摘されているが、報告書では仲介者(西澤孝)の向こう側にいるはずの情報源(ライブドア関係の元社員)について明らかにされていない。報告書は、
「『情報提供者』の存在を含め、『メール』の作成者は不明であり、その調査は不可能である」と結論している。一ヶ月も時間をかけてメンバーに弁護士も入れて調査をしながら、情報提供者が不明で、その調査も不可能であるとはどういう言い草だろうか。偽メールは誰が何の目的で作成したのかという最も単純で肝心な問題について、調査報告書は何も回答を与えずに説明責任を放棄したまま逃げている。説明責任を果たしていない。玄葉光一郎は3/31の記者会見で
「これ以上は政党の役割になじまない」などと意味不明な言い訳をしているが、その言葉に納得した国民が何人いるだろうか。民主党の態度はあまりに非常識で無責任である。
最初から真相解明する意思と能力が無いのなら、なぜ西澤孝を刑事告発して司法に任せないのか。見苦しい言い逃れはやめろ。多くの人間が喝破しているとおり、前原代表辞任と永田議員辞職は検証チームの報告書公表とセットの政治であり、要するに検証不能のエクスキューズとしての民主党の国民への代償措置であって、その目的は4/4の西澤孝の証人喚問を阻止することである。証人喚問を突きつけられて、追い詰められて逃れられなくなったのだ。報告書が真相の解明ではなくて真相の隠蔽を目的としたものである疑惑を根拠づける事実の一つは、西澤孝からの直接の事情聴取が報告書発表直前の3/30の一回だけであったという問題である。いかにも駆け込み的で帳尻合せ的な動きではないか。まず最初に3/31に報告書発表と代表辞任の日程が前提としてあり、それに向けて西澤孝からせめて一度だけでも話を聴いたという既成事実を作るべく3/30夜に滑り込みで聴取を行っている。それが無ければ報告書の体をなさないから、無理やり3/30に形だけの事情聴取をした。
本当なら、西澤孝から最初に事情を聴いた後で、その供述内容が事実かどうかを関係者に当って確認検証するという作業が必要だろうし、相手が虚言癖の西澤孝であれば、時間をかけて二度三度と慎重に聴取検証を繰り返す必要があっただろう。事件の中心にいて真相を知っているのが西澤孝であり、検証チームの目的が事件の真相解明であったのなら、当然、そのように営為したはずだ。ところが検証チームの西澤孝への接触は、報告書発表前ギリギリの(半日前の)タイミングの一回きりであり、西澤孝に何を聴き、西澤孝が何を言ったかも十分に明らかにしないまま、事前に書き上げていたアリバイ報告書をそのまま提出してしまっているのだ。要するに、始めに「辞任で幕引き」ありきであり、その日程を3/31で定めて、それに合わせて西澤事情聴取の既成事実を辻褄合わせしたのである。姑息と言うほかない。読売新聞の
世論調査(4/2)では、「民主党の今回の決着のつけ方について納得できるか」という問いに対して、49%が「納得できない」と答え、「納得できる」の40%を上回っている。
国民は今回の「検証報告」に納得しておらず、民主党が説明責任を果たしたとは了解していない。さて、私は一ヶ月前に細野豪志のブログあてに
質問書を送り、幾つかの事項について報告書で明らかにするよう要求したが、民主党の検証報告書は私の質問の核心的な部分は黙殺して回答を避けている。その一つは河村たかしがテレビで何度も言っていた「メールの現物をPCの画面の中で確認した」という例の目撃情報についての検証である。河村たかしは、送受信アドレスが一致したメールを、紙ではなくPCの画面の中で見たと明確に証言していた。そして、2月下旬から3月中旬までテレビ出演していたときの河村たかしの紹介のされ方は、「メール問題検証チームにも参加している」という触れ込みだったのであり、実際に報告書の中にもメンバーとして名前が入っている。河村たかしがこの問題の証言をした日として確実に特定できるのは2/27だが、驚いたことに「調査報告書」の中では、河村たかしが目撃し証言していたこの事実に関する検証が何も登場しない。これはきわめて不自然だ。
検証チームの「検証」の内実を怪しませるものである。報告書には、今度の事件の騒動に殆ど関与していないはずの枝野幸男の名前まで登場していて、党の内部でこの問題に関わった人間の数の多さを思わせるのだが、2/16以降の事件の中心で動いていた河村たかしの言動や行動が完全に捨象されている。河村たかしが発言したメール情報についても報告書の中では何も触れられていない。無視している。これは河村たかしが嘘を言い、同じテレビのスタジオで同席していた細野豪志が河村たかしの嘘を見過していて、嘘だとバレると民主党の立場が悪くなるので敢えて報告書で捨象したか、あるいは、河村たかしの証言は事実だったのだが、その詳細を明らかにすると具合が悪くなるので、意図的に無視を決め込んだということになる。恐らく後者だろう。河村たかしの発言はテレビで何百万人もの視聴者に目撃されていて、しかもこの問題は偽メール事件の民主党の対応について国民に不審を抱かせる重要事なのだが、そこを敢然とネグレクトするとは、玄葉光一郎もなかなかよい度胸をしている。
河村たかしの証言が事実であれば、当時の民主党は、西澤孝とすでに接触して(一千万円で買収したのかどうなのかは別に)偽メールの「電磁情報」をすでに得ていたことになり、すなわち、西澤孝と全く接触できてないと言っていた民主党の当時の弁明は虚偽だということになる。