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本と映画と政治の批評
by thessalonike2


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民主党の「政党崩壊」と新経営者小沢一郎のマネジメントスキル
民主党の「政党崩壊」と新経営者小沢一郎のマネジメントスキル_e0079739_11212494.jpg民主党議員にとって小沢一郎を代表に選んだことの失敗は、小沢一郎にマネジメントスキルがないことである。この点について民主党議員や党関係者は後で後悔することになるだろう。マネジメントスキルを比較すれば明らかに菅直人の方が上だったはずだが、そういう問題にはあまり思考が及ばなかったに違いない。この辺りにも民主党の限界と危機意識の欠如があらわれている。偽メール事件で露呈したように、民主党の現状というのは、言わば「政党崩壊」の状態にあって、正常な政党集団として機能していない。学級崩壊した小学校のクラスと同じで、教室の中は滅茶苦茶であり、個々の生徒が席を離れて勝手に歩き回ったり、無秩序に大声で騒いでいる。教師としてクラスを纏め統率するべき立場の党首の前原誠司は、お気に入りの子分衆を側に集めて身内だけで「学級ごっこ」をやっていた。「改革競争」のママゴト遊びに耽っていた。



民主党の「政党崩壊」と新経営者小沢一郎のマネジメントスキル_e0079739_11214487.jpgあまりに教師が無能で不適格なので、やむなく教師を変えることになったが、新しく選んだ教師は、前原誠司と同じかそれ以上にマネジメントスキルのない人間で、過去に何度も自ら「政党崩壊」を惹き起こしてきた「剛腕」の前科者だった。民主党という難治の組織をコーポレートガバナンスするには、抜きん出て優秀なリーダーシップを招聘して戴くしかないと思うが、今回の代表選挙はその選択に成功したと言えるかどうか疑わしい。小沢一郎は代表選の演説で「自分も変わらなければならない」と言い、その意味は、政党集団の指導者たるに相応しい人格に生まれ変わって、過去のような失敗を繰り返すことのないようにするという自戒と宣誓であり、それはそれで結構なのだが、しかしそれにしても、64歳になって「自分を変えなくてはいけない」と言わなければならない人間を集団の指導者として仰ぐのが適当な人選と言えるのかどうか。

民主党の「政党崩壊」と新経営者小沢一郎のマネジメントスキル_e0079739_11223015.jpg小沢一郎は「自分も変わらなくてはならない」と言って代表選挙に勝ったが、勝利した翌日(4/8)の執行部人事発表の記者会見では、早速、会場の記者に無用な逆質問で突っかかって挑発する例の悪いクセを出していたし、司会を無視して自分で一方的に記者会見を切り上げ、壇上の横に座っている菅直人と鳩山由紀夫の二人を残して、一人で部屋から退散する身勝手ぶりを見せていた。新執行部のトロイカ体制をアピールする場であのような無分別な態度は許されないだろう。企業が新経営陣を発表するとき、新社長が副社長二人を残して挨拶を切り上げて勝手に記者会見場から退席するなどということが経営者の世界で許されるだろうか。今はマスコミはご祝儀相場で小沢一郎を持ち上げている。小沢一郎を批判したら二大政党制のイデオロギー(幻想)が破綻するから、イデオロギーを持ち支えるために徹底的に小沢一郎を応援している。

民主党の「政党崩壊」と新経営者小沢一郎のマネジメントスキル_e0079739_11224728.jpgが、参院選は来月あるわけではない。これから始まるのは後半国会で、国民投票法案と教育基本法改正の審議が待っている。重要法案への民主党の対応に国民の注目が集まるわけで、自民党との対立軸なるものは、単なる言葉ではなく、こうした法案に対する行動で客観的に示されるものだろう。小沢執行部がどう対応するのか。そしてその後に代表選挙がある。党内が揉めて騒動する可能性は十分にある。民主党は事実としてバラバラで、河村たかしや原口一博が典型的だが、そのバラバラの状態に議員が安住しきっている。居心地がいいのだ。テレビで好き勝手なタレント評論家活動ができる現在の民主党が最高に楽な生息環境なのである。無責任な放言が許されて、ギャラが貰える現在の境遇を議員たちは変えたくないのだ。小泉自民党のように、執行部決定に造反すれば選挙区に刺客を送られるような厳しい組織は嫌なのだ。

民主党の「政党崩壊」と新経営者小沢一郎のマネジメントスキル_e0079739_1123467.jpg党内がバラバラだから個々人が自由奔放に評論家できる。基本政策が纏まってないから議員個々があれこれテレビで私論や愚痴や趣味を言える。テレビタレントの民主党議員が「うちの党は寄合所帯だから」と漏らすときの本意は、いつまでも寄合所帯のぬるま湯が続いて欲しいという願望の吐露なのであり、親方二大政党制の政治貴族として極上の人生を謳歌できる歓びに口を綻ばせているのである。自己の言論を党の基本政策の下に統一させるような野暮は御免なのだ。民主党議員様に義務や強制はないのだ。(党員であるにもかかわらず)党への忠誠や服従は嫌なのだ。自由気儘な極楽とんぼでタレント活動してギャラを稼げるから、だからわざわざ高い金を払って松下政経塾を出て、民主党議員様の地位を手に入れたのである。民主党の体質はそういう成分でできている。体質とはコンスティチューションである。変えるのは簡単ではないだろう。

民主党の「政党崩壊」と新経営者小沢一郎のマネジメントスキル_e0079739_1123254.jpg昨日の「クローズアップ現代」に小沢一郎が出演して、「若い議員は党の政策を有権者に理解してもらうように一軒一軒訴えて回らなくてはいけない」と言っていた。正論である。まさにそれが政党と政治家の基本で当然の話なのだが、民主党の議員はそれをやってないし、やらなくても親方二大政党制に身分保障されて比例ブロックで簡単に当選できる。テレビに出て「政策、政策」と言っている民主党の議員は、年恰好からしても、程度からしても、政治家とか国会議員ではなく、あれは議員秘書そのものだ。議員秘書が似合っている。政策の勉強は議員秘書になってやれよ。政策の勉強をさせるために国民は議員に歳費を払っているんじゃない。官僚が作った法律や省令の細則規定や計算式を頭に詰め込んだり、エクセルのワークシートの数値を一個一個暗記する前に、そんな暇があったら、選挙区の住民が何人何世帯いて、それぞれの家庭がどれほどの収入でどういう生活をしているか調べたらどうだ。政治家に何をしてもらいたいのか聴いてみろよ。

ワガママで目立ちたがりの甘ったれ生徒ばかりの学級に、(ワガママな生徒たちに選ばれた)ワガママの極致で64歳の殿様人生を通してきた剛腕教師が着任。私はこの学級は長続きしないと思う。人間もなかなか変わらないが、党もなかなか変わらないものだから。
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by thessalonike2 | 2006-04-11 23:30 | 民主党・ ポスト小泉 (15)
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