被害者の母親の須藤洋子さんが病気でお亡くなりになっていた事実は、今回のニュースで初めて知った。この事件は心に重く、ずっと頭の中にとどまっていた事件の一つだったが、まさか母親まで犠牲になっていたとは知らず、しかも五十歳の若さで死んでいた。六年前に「ニュースステーション」で事件報道を見たときは、夫婦二人で被害者の正和さんの墓参りをしている絵が映されていて、お元気そうであり、まさか四年前に脳出血で永眠されていたとはとても信じられず、悲しい気持ちでいっぱいになる。被害者の正和さんのお母さんらしく、見るからに心のやさしそうな方だった。宇都宮地裁の民事訴訟で原告勝訴の判決が出て、判決は妥当なものだが、栃木県警は「主張が認められず残念」とコメントを出していた。判決では警察の捜査怠慢によって被害者が死に至った事実を認めているが、この事件の因果関係を客観的に見てみれば、これは単に「捜査怠慢」などという言葉で民事責任だけが追及されて済む問題ではなく、むしろ明らかに業務上過失致死の犯罪が要件構成される重大な刑事事件なのではないかと思った。
そう思って調べていたら、
やはり、当時の栃木県警石橋署の担当署員を業務上過失致死容疑で告発していた正義の人が三年前にいて、残念ながら検察によって「嫌疑不十分」とされ、不起訴処分にされていた。このときの地検の判断は「必要な処置をとらなければ正和が死亡するなどの重大な結果が起きると、署員が認識するのは困難だった」とするもので、今回の宇都宮地裁の判断、すなわち「警察が捜査を怠ったことにより被害者が死に至った」と述べた判決と真っ向から対立する。こういう場合はどうすればよいのだろうかと思って悩んでいたら、被害者の両親が立ち上げた
HPの中で、当時の石橋署員が正和さんの母親の洋子さんに警察の失態を隠蔽する責任を押し付ける名誉毀損行為を糾弾している件があり、亡くなった主任弁護士の小野瀬芳男氏は、名誉毀損での刑事告訴を考えていたのかなと思われた。この石橋署(現下野署)の元署員と署長、そして当時の県警幹部に対しては、絶対に刑事責任の追及が行われなくてはいけない。民事の損害賠償責任で済むはずがない。母親の洋子さんも被害者だ。
突然のわが子の不可解な状況を理解できない私たち夫婦は、日産自動車上三川工場に相談したが、そこに待っていたものは、被害者(正和)と、電話で呼び出したBに対して会社が行った社内調査が書類にまとめられ、Bの証言をうのみにした「調査報告書」が用意されていた。そこには、『須藤が嘘を言っていると思われる。』と記されてあった。が、気が動転していた私たちには理解できぬまま、県警から天下った総務の人間に言われるまま石橋署に捜索願いを提出してしまった。それからと言うもの、何度石橋署に足を運んでも返ってくる言葉は、「あんたの倅が、仲間に金を与えて面白おかしく遊んでるんだろう」「そんなに大金を借りあるいているのは、麻薬でもやってるんじゃないのか」そんな対応をされている間に、犯人等は、被害者に対し、毎夜ホテル内の浴室で熱湯シャワーを浴びせ、殺虫剤スプレーにライターで火を付け、被害者が泣き叫び、もがき苦しむ姿を笑い楽しみ、挙句には、ホテル内に用意してある湯沸しポットのお湯を沸騰(90℃以上)させ、何杯も全身にかけ、皮膚は剥がれ落ち、膿が滴り落ちる状態であった。
もう解約できる保険もなくなり、借金をしました。理容業組合の支部長が二つ返事で 保証人の印鑑を押してくれたときには、ありがたくて涙が出ました。 正和は、28日に渋谷から宇都宮に連れてこられ、市内のホテルを転々と連れ回されて いました。リンチは湯沸かし器の熱湯をコップに入れたものを浴びせかけるというものに変わっていました。湯沸かし器の湯は熱湯シャワーのリンチ以上に熱く、90℃もあったそうです。さらに、彼らは広範囲にわたって焼けただれた正和の頭や背中を靴べらでその靴べらが 折れるまで殴打したり、無理矢理大量のピザを食べさせたりしています。28日からはリンチに渋谷からついてきた高校生のTも加わっています。 4回目の公判では、この頃のリンチの様子について、検察官とUのやり取りがありました。「須藤さんはどんな様子でしたか」 「皮がはがれてぼろぼろになっていた」 「どう思いましたか」 「どうなってもいいと思った」 「苦しむ須藤さんを見てどういう気持ちでしたか」 「面白かった」 私ははらわたが煮え操り返り、叫びだしそうになりました。
司法解剖の結果、正和の胃は空っぽでした。食事も与えられていなかったのです。この日はいったん深夜に帰宅しました。そしてH、M、Uの家に電話しました。悔しさが一気にあふれ出しましたが、気持ちを抑えて「明日、火葬される前にどんな顔になっているか見にきてくれ」と言いました。どの家族からも謝罪の言葉は一切なかった。それどころか「うちの子がいま、どこにいるのかわからない」と、自分の子供の心配ばかりしている有り様でした。「警察に捕まれば5,6年は出てこれない。20代の一番楽しい時期を刑務所で過ごすのか」Hはこう言って正和の殺害を持ちかけたそうです。そして、遺体が見つからないようにするために、セメントやスコップ、軍手、作業着を正和の最後に振り込まれた給料をおろして買い揃えました。「ちゃっちゃっとやってこい」というHの指示によって、M、Uは正和が血を吐き倒れてもまだ、ネクタイで首を絞め続けたということです。正和が埋められた穴はその直前に、まだ生きている正和の目の前で掘られました。
(H - 萩原克彦 U - 梅沢昭博 M - 村上博紀)
浴室のドアの前に、コップを持った松下が立っていた。中身はオレンジジュースだったが、一目で白いドロドロした液体が混じっているのがわかった。松下(=村上博紀)が命令した。「俺の精子が飲めないのかよ……」 リンチはこの瞬間に一線を超えた。熱湯シャワーを浴びせられ続けた正和の体から湯気が立ち上がり、体力的限界のなかでそれが何かを悟り、一瞬、嫌な顔をして拒否したが、考えるまもなく松下(=村上博紀)の言葉に屈服せざるを得なかった。私が三人の供述調書からこのシーンを読み取ったときの感覚は、とても私の拙い文章で書き表せるようなものではなかった。戦慄を覚えた?いや、そんな簡単なものではない……。あらゆる暴力と脅迫で正和をいたぶり続けた犯人たちが、とうとう肉体的苦痛を超え、人としての尊厳まで冒してしまったのだ。
しかも、これは単なる狂気のはじまりにすぎなかった。「おまえたちもオナニーしろ。あと3分で出せなかったら須藤にフェラチオさせる。それでも出せないやつは罰金10万円だ」主犯格の藤原(=萩原克彦)が、植村(=梅沢昭博)らにそう命じたのだ。結局、射精できなかった高橋(=T)が、正和にフェラチオされ、藤原(=萩原克彦)がその写真を撮るという異常な事態に発展した。一方、植村(=梅沢昭博)はコップの中に射精していたが、そこに小便をして正和に突き付けた。「一気に飲め……」 それが終わると、犯人たちは再び風呂場へ正和を連れていき、植村(=梅沢昭博)が羽交い絞めにし、松下(=村上博紀)が正和の胸から下腹部にかけて熱湯シャワーを浴びせたというのだから、これはもはや人間の行為では断じてない。
言葉にならない。絶対に許せない。