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by thessalonike2


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国際司法裁判所の竹島ジャッジメント - 六カ国協議へ差し戻し
国際司法裁判所の竹島ジャッジメント - 六カ国協議へ差し戻し_e0079739_12502426.jpg竹島周辺の海底地名問題について、日本のマスコミは4/22の日韓事務次官交渉で韓国が6月の国際会議で名称変更提案を行わないことで合意したと報じていたが、案の定、韓国側が言っていたとおり、合意はなく、名称提案する可能性を韓国の国会で外交通商省第一次官(柳明恒)が言明した。4/22の騒動の経緯は読売の記事が詳しいが、合意を拒否して席を立って帰ろうとした柳明恒を、会談場所のホテル38階から地下駐車場まで追いかけて、何やら極秘メモを渡して会議室まで連れ戻し、決裂の格好を作らないように懇請収拾したのは日本側である。結局のところ、日本側は合意したとマスコミに発表し、韓国側は合意していない立場を崩さないという「玉虫色」でその場凌ぎをしたのだが、わずか三日であえなく破綻した。ネット右翼は日本の外務省の弱腰を非難しているが、柳明恒を地下駐車場まで追いかけるように東京から電話で緊急指示したのは安倍晋三である。「弱腰」の主は安倍晋三であり、現場で交渉を担当した谷内正太郎ではない。



国際司法裁判所の竹島ジャッジメント - 六カ国協議へ差し戻し_e0079739_12503969.jpg本当は、韓国に妥協せず柳明恒に席を蹴らせたのが谷内正太郎なのであって、ネット右翼は谷内正太郎を褒めてやるべきなのだが、相変わらず安倍晋三に騙されてか、あるいは狡猾に立ち回る安倍晋三の政治意図を汲み取ってか、外務省攻撃を続けている。谷内正太郎は安倍晋三の腹心で、今回の交渉を終始遠隔操作していたのは東京の安倍晋三だった。安倍晋三が4/22に「玉虫色」を指示したのは三つほど理由があって、第一に米国から韓国と揉め事を起こさないように指令を受けている背景があり、第二にポスト小泉の次期首相の立場を汚したくなかったという事情がある。関連して第三に、拉致で日韓協力を演出しようとする策謀があった。日本(安倍晋三)は最初から海洋調査の断行は考えてなかったのであり、測量船の境港待機も、事務次官交渉も、単に国内世論向けの政治的ポーズだった。それがポーズであり、安倍晋三が簡単に妥協することは、どうやら韓国側に見透かされていた。だから韓国は4/25の大統領談話にすぐに繋げた。

国際司法裁判所の竹島ジャッジメント - 六カ国協議へ差し戻し_e0079739_12504968.jpgこれによって拉致を梃子にした対北朝鮮の日韓協力という安倍晋三と麻生太郎の策謀は雲散霧消した。海域に実際に調査船を派遣していれば、そのまま拿捕されていただろう。そして現在の関心は、それでは国際司法裁判所で日韓が争う事態になった場合はどうなるかという論点に移っていて、ネットの一部でも詳細に予想が議論されている。韓国側も国際司法裁判所を意識して手を打ち始めたようだが、私の推測を言うと、恐らく判事が判決を出すのは容易ではなく、可能性としては、日本の民事裁判の事例のように、裁判所が調停に入って両国に和解を促すという方向になるのではないかと思われる。それが裁判所の判断で、仮に何らかのジャッジを示す場合でも、必ず両論併記の形にするだろう。判事の中には中国とロシアの外交官もいる。歴史を検証すれば、米国が51年の独自調査で竹島を日本所属と認めた事実が重いと思われるが、判断に際しては韓国の実効支配の期間の重さも考量される。単純な判決は下せず、15人の判事は悩むだろう。

国際司法裁判所の竹島ジャッジメント - 六カ国協議へ差し戻し_e0079739_12505999.jpg私が客観的な立場の第三国の判事なら問題解決をどう提案するかと言うと、六カ国協議の場で議論して決めろと言うだろう。これは責任回避の態度だが、複雑な歴史が絡む難しい問題を簡単には結論は出せないし、どちらか一方に与して韓国からも日本からも嫌われたくない。六カ国協議は北東アジアの安全保障のために作られた新しいスキームであり、地域関係国でよく相談して調整を図るのが適当だという言い方は、すなわち理屈(一般論・仲裁論)として納得を得やすい。EUやアフリカ諸国のような部外者たちは「それがいい」と膝を打つだろう。日韓の揉め事に関わりたくないのだ。W杯開催地問題も苦労させられた。部外者にとって日韓紛争の解決案はシロクロ着けずに問題を棚上げする「大岡裁き」しかないのである。が、それでは六カ国協議で竹島問題をテーブルに上げればどうなるかと言うと、これは誰が見ても明らかなとおり、日本にきわめて不利である。韓国には北朝鮮と中国とロシアがつく。米国は日本寄りながら中立に立たざるを得ない。

国際司法裁判所の竹島ジャッジメント - 六カ国協議へ差し戻し_e0079739_1251991.jpg敵が四カ国、味方がゼロ、中立が一カ国。勝負は見えていて、竹島問題を六カ国協議のテーブルに乗せても日本には何の利益も得られない。国際司法裁判所の調停や判決は、日本の右翼が期待するほどには日本にとって有利な結果にはならないだろう。W杯のときと同じ目に遭うに違いない。竹島の領有問題について、恐らく最も現実性がありそうなのは、日本が測量船を海域に出して、韓国が拿捕をして、紛争が明確になり、一触即発の軍事的緊張状態になり、日本が国際司法裁判所に提訴しようとしても韓国が応じないという場合で、この場合、日本は緊急な救済と韓国への制裁を求めて国連安保理に問題を付託する行動に出る。そのとき、国連安全保障理事国の多数は日本を支持し、韓国の国連海洋法条約違反を非難するに違いないが、しかし、周知のとおり、国連安保理の常任理事国は<米中露英仏>の五カ国である。中国は日本との間に尖閣諸島問題と東シナ海油田問題を抱え、ロシアは日本との間に北方領土問題を抱えている。中露二国は安保理の決定に拒否権を持つ。簡単に国連から日本に有利な問題解決が出るとは思えない。

特に中国は、強硬に日本の軍国主義復活を批判する論陣を張るはずで、そうなった場合、竹島問題を調停するはずの国連安保理が、一転して(旧敗戦国である)日本の軍国主義復活を審議するテーブルになりかねない。国際社会に竹島の領有権を認めさせようとする日本の外交営為が、逆に韓国の竹島領有を固定化し永続化させる方向に作用することは、十分にあり得る展開ではないかと私は考えている。日本が国際外交で竹島を奪還したいと考えるなら、日本は中国と仲良くしなくてはならない。それが必須条件だ。

国際司法裁判所の竹島ジャッジメント - 六カ国協議へ差し戻し_e0079739_13171938.jpg
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by thessalonike2 | 2006-04-27 23:30 | 竹島問題・日韓関係 (7)
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